ダブル・ゴール・コーチング セミナーvol.2『チーム文化の創造』レポート

今回のダブル・ゴール・コーチングセミナーVol.2は、2020年9月30日オンラインにて『チーム文化の創造』というテーマで開催。本セミナーではNPO法人スポーツコーチング・イニシアチブ理事の石渡がファシリテーターを努めました。

本記事では、チーム文化の創造についてのセミナー内容のまとめを解説します。

チーム文化とは?

ダブル・ゴール・コーチングを提唱しているPCA(Positive Coaching Alliance)ではチーム文化を“このチームでの私たちのやり方”であり”強いチームには必ずと言っていい程、チームメンバーを励まし、パフォーマンスを向上させるような価値観、ふるまい、習慣等を強化する強い文化が備わっている”という風に定義されています。

石渡からはさらにチーム文化の強化する仕組みも紹介。

チーム文化が存在し成立していくためには「チーム文化をまず創り出し文化に根ざしたメンバーに対する行動への期待が存在しその期待に応えた行動を実際に行っていく」ことが大切であるとのことです。

石渡自身も自分のコーチング現場を例にだして『積極的な文化を創っていこう』とチームで掲げたものの、その文化に根ざした行動を定めていないと結局消極的な行動があらわれてしまいチーム文化として根付いていかないことがあるそうです。

このサイクルが回っていることがチーム文化を創り出していくために必要であるということです。

チーム文化がもたらす効果

ここでは、チーム文化がもたらす効果として、オールブラックス(ニュージーランドラグビー代表チーム)の事例と帝京大学ラグビー部のチーム文化への取り組みが紹介されました。

【事例1】All Blacks(オールブラックス)のチーム文化の形成について

ここで石渡からNPO法人スポーツコーチング・イニシアチブの後藤晃一にバトンタッチし、オールブラックスが創り出したチーム文化について紹介しました。

オールブラックスは低迷期があったとのことです。2007年敗退し、2011年ワールドカップで優勝するにあたってのスポーツ文化の形成をテーマに進めていきました。

オールブラックスの取り組みのポイントは“モチベーションの高いチーム文化の形成”であったと後藤は説明しています。

オールブラックスの低迷期にコーチ陣は自分たちが権威的なコーチング、いわゆる上から圧をかけるようなコーチングしていたそうです。そこを見直すことから改革が始まっていきました。

改革の1つとして、デュアルマネジメントモデルの導入をしたそうです。デュアルマネジメントモデルとは、選手に決定権を持たせ、選手陣とコーチ陣でチームをマネジメントする仕組みのことです。

そのためには

  1. 選手に役割を持たせてリーダーにする
  2. フィールド上のリーダーを複数人決める
  3. ゲームごとの戦術は選手が考える

といった取り組みがあり、なにかしら選手にリーダーの役割を持たせたそうです。

またオールブラックスはさらに“Better People, Make Better All Blacks”『より良い人がより 良いオールブラックスを形成する』を掲げます。

これを掲げたことにより

  1. 責任感が生まれた
  2. より良い人間を目指すことで周囲との関係がよくなる
  3. 高まったモチベーションが選手へのパフォーマンス向上へ
  4. 各選手のパフォーマンスが高まりチームの結束力が向上

といった文化からの好循環が創出され2011年ワールドカップの優勝につながっていったとのことです。

【事例2】帝京大学ラグビー部のチーム文化の形成について

次に後藤からNPO法人スポーツコーチング・イニシアチブの有田祥太へとバトンタッチし、10年間勝てなかったラグビー部が9年大学選手権で勝ち続けることができた取り組みに関して紹介しました。

帝京大学ラグビーはもともと指揮官が指示命令を下し、選手が忠実にこなす“センターコントロール型”の組織だったそうです。

しかし、センターコントロール型の組織というのはひたすら指示を待ち、自分の頭で考えようとしなくなるという選手が多く現れたそうです。

それから帝京大学のラグビー部の監督である岩出雅之監督は、メンバー一人ひとりが自立的に考え、行動し仲間と助け合いながら自ら学習、成長する集団である“自律運営型”の組織を目指しました。

その中の取り組みとして脱・体育会系組織を取り入れていったそうです。

これまでのピラミッド型の組織だとただでさえ新しい環境に慣れないといけなかったりする1年生にとっては心理的エネルギーをもの凄く消費してしまい、ラグビーや自分づくり、勉強どころではありません。

そのピラミッドを反転させ、4年生が掃除などの雑務等の負荷を持ち、1年生をサポートするような仕組みに変え、洗濯なども4年生が実施するようにしました。

そうすると4年生は1年生にとってのロールモデルとなり、リスペクトや憧れをもち、自分づくりに専念できるような心理的エネルギーが満たされた状態になります。

帝京大学ラグビー部は数多くの取り組みを実施していますが心を大切にした文化を多く取り入れることで、勝ち続けるチームへと変化することができたそうです。

チーム文化の創り方

再度石渡にバトンタッチし、実際にチーム文化の創り方をPCAの中から紹介。チーム文化には下記の5つの要素が必要だと述べられました。

  1. 明確で合致した価値観
  2. 習慣と手順
  3. 共通言語
  4. 風通しの良い双方向のコミュニケーション
  5. 家族のようなフィーリング

明確で合致した価値観では、「チームで規定した価値観」と「実行された行動(価値観)」の2つが合致していることが重要です。例えば、失敗を恐れずにチャレンジしよう!とチームで規定したのにも関わらず、チャレンジしてのミスを叱責していては破綻してしまうということです。

また、チーム文化はこのチームでの私たちのやり方であると前述しましたが、メンバーが”チーム文化”を常に思い出し、それに立脚した行動が取れるようなそのチーム特有の手順や慣習を開発することが効果的であるとのことです。

このような取り組みを通じてチーム文化を創っていく、根付かせていくことが重要であるということです。

チーム文化の形成における具体的な実践方法

チーム文化を根付かせるための具体的な実践の方法として『対話としてのチーム会議』を石渡は紹介。チーム会議とは練習の中にコーチからの指示や指導とは別に、選手自らが考えて発現・発信する場(=チーム会議)と設けることで、チーム文化の強化に繋がる下記の3つの効果があると石渡は説きます。

  1. 主体性の向上
  2. 関係性の向上
  3. 選手のe-TANKの向上

実際にチーム会議の進め方としては

  • 予め練習メニューに組みこむ
  • 実施タイミングは練習中盤に行う
  • チーム会議は質問をメインに行う
  • 選手の意見に耳を傾ける

というような進め方をすることが、例えば選手が自ら考える力を身につけることができたり、周囲の人が話に耳を傾けることで選手のe-TANKを満たすなどができるそうです。

まとめ

チーム文化とは強いチームには必ず存在するものです。そのチーム文化を創っていくためには要素が必要で、チーム全体、メンバー1人ひとりが取り組んでいくことが重要です。そのチーム文化を創り出せる環境を創ってあげることが指導者の役割かもしれません。

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