自己決定理論とは?コーチが選手のモチベーションを高めて子どもの成長を促すヒントを解説!

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モチベーションという言葉は主にやる気に代わる言葉として使われ、スポーツ場面でも耳にする機会は増えています。

しかし、モチベーションがどのようなもので、どのように高めることが出来るかなど、モチベーションのメカニズムやモチベーションを意図的にコントロールする方法などについては、あまり知られていないかもしれません。

一見つかみどころのないように思えるモチベーションですが、モチベーションのメカニズムやモチベーションに働きかける具体的な方法などは研究によって解明されてきています。このような研究成果を参考にすることで、意図的にモチベーションを高めたり、選手自身がモチベーションを把握できます。

今回の記事では、数あるモチベーションの理論の中でもスポーツや教育など幅広い場面で使われている、自己決定理論と呼ばれるモチベーション理論を解説し、コーチが選手のモチベーションにいい影響を与えるための取り組みについても紹介します。

自己決定理論とは「モチベーションの考え方」

自己決定理論は、自己決定のプロセスがモチベーションに与える影響を説明している理論です。

この理論の発端として、フィードバックを一方的に与えられるのと、自分のタイミングでフィードバックをもらうのとでは、どちらが意欲的に勉強に参加出来るのかを検証した研究があります。

この研究では、自分のタイミングでフィードバックをもらった生徒の方が学習意欲や学習への参加の度合い(モチベーション)が高かったことが分かり、自己決定がモチベーションに与える影響について注目が集まるようになりました。

その後自己決定とモチベーションについての研究が進む過程で以下の点について明らかになってきました。

  • モチベーションは大きく分けて内発的動機づけ、外発的動機づけ、無動機づけ、3つに分類される。
  • そのうちのひとつである外発的動機は、さらに4つの異なるタイプに分類することができる。
  • 3つの心理欲求を満たすことで、内発的動機を高められる
  • 目標設定の内容など、モチベーション影響を与える要因は人それぞれ。

以降はこの4つの内容について触れていきます。

3つのモチベーションの種類

モチベーションは、内発的動機づけ、外発的動機づけ、無動機づけの3つに分類されます。分類の仕方は、どのような物からやる気を得ている(動機づけられている)かによって異なります。

無動機づけは、動機づけられていない状態、つまりやる気のない状態や興味のない状態で、以降に説明する2つの動機づけられている状態とは大きく異なるため、ここでは詳しい説明は割愛します。

外発的動機付けとは他のモノ・コトからコントロールされている状態

外発的動機づけは、他者や環境など自分の外側にある人や物から影響を受けて行動を起こしている状態です。外発的に動機づけられる物は、物によるご褒美、褒める怒る、締切り期限、社会や周囲からの期待など、さまざまです。これらは「外的な報酬」とも呼ばれています。

数ある外的な報酬には共通している特徴として外発的に動機づけられている物(外的な報酬)にコントロールされていることがあります。

例えば、コーチが選手を褒めたり叱ったりしているとしたら、コーチが褒めたり叱ることで選手をコントロールしていることにもなり、あなたが締切りに追われているとしたら、締切りにコントロールされているといえます。

自己決定理論では、他者、モノ、コト、からコントロールされて行動を起こしている状態を外発的に動機づけられている状態だと定義しています。

内発的動機付けとは自分で自分をコントロールしている状態

一方で内発的に動機づけられる物は、興味、楽しさ、好き、挑戦する気持ち、といった自分の気持ちや感情といった、いわゆる「内的な報酬」によって動機づけられている状態です。

いいかえると、自分で自分をコントロールしている状態とも言えます。「自分がしているスポーツが好きだからプレーしている」「今練習しているスキルは難しいけど出来るようになりたいとチャレンジしている」といった状態は内発的に動機づけられている状態と言えます。

つまり、好きな気持ちや興味によって行動を起こしている時は、その行動することそのものが目的になっています。例えば、好きだからスポーツをしている時は、スポーツする事が目的になっている状態です。他にも、プロ選手に興味があってプレーを研究をしている時も、研究する事自体が目的となっている状態です。

さらに、内発的動機づけの間には下記のような興味深い性質があります。

  1. 人は外的な報酬をもらい続けると内発的な動機が弱まってしまうこと
  2. 有能さに対するポジティブなフィードバックは内発的な動機を高める

この内発的動機のメカニズムは、認知評価理論と呼ばれるもので、自己決定理論のを構成しているミニ理論の1つです。

自己決定理論における外発的・内発的動機の6つの段階

モチベーションは内発的・外発的な動機、無動機づけと大きく3つの状態に分けることができますが、外発的な動機となる要因は様々です。

外発的動機付けにも、外発的・内発的な要素をそれぞれ含んだような状態も数多くあり、いとことで「外発的動機づけ」として説明するには無理が生じることも。

そこで、外発的な動機を4つの段階に分けて動機づけの対象が変化する様子を説明しているのが、有機的統合理論と呼ばれる、自己決定理論に関係する別のミニ理論です。

この理論の重要なポイントは、外発的な動機を4つの段階を「調整」と呼び、外発的な動機から内発的な動機にシフトしていくプロセスを説明しています(図1)。

モチベーションの段階①無動機付け~外発的動機付け

無動機づけの状態は、図の一番左の無動機づけに位置し、外発的動機の中でも一番外的な報酬に頼っている状態は「外的調整」に位置します。

外的調整の状態の具体的な例としては、「お小遣いがもらえるから練習に行く」「怒られるからトリッキーなプレーをしない」など、外的な報酬を理由に行動を起こす(起こさない)状態があります。

モチベーションの段階②外発的動機付け

「取り入れ的調整」は外的調整ほど外的報酬に影響されていないものの、自分の都合や欲求によって行動を起こしている状態です。例えば、「褒められるからプレーする」「注目されないからやる気が出ない」といった状態が該当します。

「同一化的調整」は外発的に行動している一方で、個人が感じる大切な物、価値観、目標達成に必要な物などに行動する理由が紐づいている状態です。具体的には、「練習は嫌いだけど、勝つためには必要だからやる」「苦手な練習だけど、上手くなるためには必要」といった状態が当てはまります。

そして、「統合的調整」は行動を起こしている対象に価値や必要性を強く感じている状態です。限りなく内発的に動機づけられている状態に近いですが、特定の目的や理由のために行動している為、外発的な動機に含まれます。

例としては「目標達成のために必要だからやっている」「成長のためには欠かせない取り組みだから毎日続けている」といった状態です。

モチベーションの段階③内発的動機付け

最後に内発的に動機づけられている状態は、「プレーしているスポーツそのものが好き」「難しいプレーだけど上手くなりたいから何度もトライする」といった行動することそのものが動機になっている状態です。

モチベーションの内在化とアンダーマイン効果

「元々は友達に誘われたスポーツがいつの間にか楽しくなって友達関係なくプレーするようになった」「最初は楽しくプレーしていたスポーツが、気づいたら親から練習に行くように言われてスポーツをするのが楽しくなくなった。」

といった外発的な動機でプレーしていたのが内発的にプレーするようになったような経験をスポーツや習い事などで多くの人が経験しているのではないでしょうか?

外発的にやっていたことが内発的に行うようになることを「内在化」と呼び、内発的にやっていた事が外発的にやらされるようになり内発的な動機が失われることを「アンダーマイン効果」と呼びます。

この両方に関係する重要な心理的要素が、「自律性の尊重」です。内在化は選手の自律性が尊重されることで促されます。一方でアンダーマイン効果は、選手の自律性が失われることで起こります。このように、動機づけられている状態を6つに分類して動機づけられる対象が変化する様子を説明しているのが、有機的統合理論です。

内発的モチベーションを高める3つのこと

ここでは外発的・内発的動機を高める方法について説明します。前の見出しでも簡単に触れていますが、外発的・内発的動機は「報酬」によって高められます。

外発的な動機の場合、お小遣いがもらえるから家事を手伝った、褒めてもらえるから練習に行った、怒られるから教わってないプレーをするのを止めた、など外的な報酬(罰も含む)を理由に行動しています。

内発的な動機を高めるには、前の見出しにも出てきた「有能感に対して褒めること」によって自分の有能さを感じられることに加えて、「自分には自己選択する余地や権利がある」「今いるグループや組織に自分の役割があって居心地がよい」と感じられる時に、内発的な動機が高まります。

この3つは基本的心理欲求と呼ばれており、それぞれ「有能性」「自律性」「関係性」という言葉で説明されています。認知評価理論の研究で自分で選ぶことによりモチベーションが高まるという知見を、さらに発展させた内容がこの基本的心理欲求理論です。

自己決定理論の下位理論

ここでは内発的モチベーションを高める上で役立つ自己決定理論の下位理論について説明します。

因果志向性理論:どんなことに対して行動を起こしやすいのか?

人が行動を起こしやすくする要因について明らかにしているのが、因果志向性理論です。因果志向性理論では、個人が行動を起こしやすさを感じる対象として、

(1)自律性

(2)自分が外的にコントロールされる物

(3)ミスへの恐れ

の3つが主な挙げられています。

(1)に対して行動を起こしやすいと感じる人は、自分の興味や好きなことに対してモチベーションが湧いてくるのが特徴。

(2)に対して行動を起こしやすいと感じる人は、周囲の人からの期待や報奨金などの外的な影響に心地よさを感じやすいのが特徴。

(3)に対して行動を起こしやすいと感じる人は、自身の能力を過小評価したり失敗を恐れて避ける傾向が強く見られるのが特徴。

いずれの対象もあくまで「特徴」であり、行動の起こしやすさを感じる対象は自分を取り巻く環境(社会的な影響)によって変化します。

目標内容理論(目標の中身が自分の考え方を形作る)

目標設定の効果の1つとして挙げられているのが、どのような目標を立てたかによって自分自身の行動や考え方が変わることです。目標設定をすることによって自分自身の行動や考え方が変化するメカニズムについて説明しているのが、目標内容理論です。

過去の研究では、内的な目標(個人の幸福感や成長に目を向けた目標)と外的な目標(お金や他者からの賞賛などの外的要素に対する目標)による行動や態度の傾向についての調査が行われました。

その結果、内的な要素を目標にした人は周囲の人やコミュニティを大切にする傾向が見られたものの、お金や名声に関係した目標を立てた人は周囲の人やコミュニティをそこまで大切にしない傾向が明らかにされました。

さらに、富やお金を目標にした場合は幸福感を得にくく、自分の価値観や基本的心理欲求に基づいた内容を目標は幸福感を得やすいことも報告されています。このような研究からも、どのような目標を立てるかは自分自身の行動に大きな影響を与えると考えられます。

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人間関係動機理論(自律的な行動が豊かな人間関係の構築に役立つ)

人間関係と心理的欲求がモチベーションに与える影響について説明しているのが、人間関係動機理論です。自律的に行動することと、他者との関係を尊重して行動することは、一見すると相反する関係のように見えます。

このような人の行動で注目すべきポイントには、人間関係が強制されているかどうかがあります。何かの理由をつけて半ば強制的に築いた人間関係においては、基本的心理欲求の関係性が満たされません。

つまり、基本的心理欲求が満たされるような良好な人間関係は、当人同士の意思や価値観によって築かれた関係であると言えます。つまり、人の人間関係と基本的な心理的欲求とモチベーションは大きな関りをもっているということです。

自己決定理論の視点は選手のモチベーション向上に役立つ

ここまで説明してきた自己決定理論の知見を活用すると、以下のポイントに働きかけることで選手のモチベーションを高めることが出来ます。

(1)選手が自分で選択できる余地があると実感できる

(2)選手自身に能力があると実感できる

(3)選手がコーチやチームメイトたちと居心地の良い関係が築けていること

科学的根拠に基づいた取り組みをする一番のメリットは、ある程度具体的な方法や取り組みによって、意図的に選手のモチベーションに働きかけることが可能になることが挙げられます。

理論や科学的根拠は全ての人に当てはまる物でもありませんし、置かれた立場や環境によっては効果が得られない場合もあります。科学的に認められた成果の多くは「限定された場面で認められた効果」であることは頭に入れておかなければいけません。

それでも、効果が期待できる方法として試す価値はありますし、仮に効果がなかった場合は検証して改善すれば次につながります。

スポーツパフォーマンスとモチベーション

選手のスポーツに対するモチベーションが高まることで、練習に没頭することができ、その結果毎回の練習で上達が促されてパフォーマンスの向上につながります。

このように選手自身が成長を実感できる練習を積み重ねることで、スポーツに対する有能さを実感しやすくなりプレーに対しても自信を持てるようになります。

スポーツのパフォーマンスを高めるには、試合やゲームでできるプレーを練習で増やしていくプロセスが欠かせません。言い換えると、どのようなパフォーマンスができるかはどのような練習をしたかによって左右されるため、内発的なモチベーションを持って練習することが大切です。

外発的な動機と関係している結果目標によって長期間練習をやらせることは、その後スポーツを辞めたり燃え尽き症候群に陥るリスクを高めてしまいます。しかし、結果目標はパフォーマンスを発揮する場面ではプラスにも働きます。

特に、プレーに迷いが生じるような場面では「シュートを打つ」「10点の的を狙う」「得点を取りにいく」といった簡潔な結果目標を立てることで、目の前のプレーに集中しやすく出来ます。

自己決定理論を応用したコーチングツール2選

ここまで、自己決定理論のスポーツ場面への応用について説明してきました。ここからは、自己決定理論をコーチングに応用する具体的な方法を紹介します。

練習では積極的に成長目標を立てる

努力する姿勢を伸ばしたりミスから学ぶ姿勢を身につけるには、練習に対する成長目標を立てて練習後に目標に対する取り組みを振り返る作業を繰り返すことが効果的です。

しかし、一度練習が始まると立てた目標が頭から抜けてしまいがちです。そこで、練習中に立てた目標を思い出すきっかけを作りましょう。方法としては、休憩時間に目標を振り返る時間を作ったり、コーチから「今日の目標何だった?」といった具合に声をかけて思い出せるようにするといいでしょう。その他にも練習前に今日の練習で上手くなりたいことを考える時間を作り、それぞれの選手が練習で上達させたいことを決める機会を作るのも効果的な方法の1つ。また、練習後は、多くのコーチが選手に話す時間があると思いますので振り返りの時間として活用するのもよいでしょう。

ただし、コーチが気づいたことを一方的に伝えてしまうと、選手が自分でプレーを振り返る機会を失ってしまいます。選手が自分で振り返ったり学んだことを整理することに意味があることを念頭において振り返りの機会をつくるとよいでしょう。

このように、コーチが選手自身で振り返る機会(自律性の尊重)をつくったり、選手の成長目標を活用(内発的な動機を高める)することで、練習に対するモチベーションを高められます。

選手が自分で選べる機会を練習の中で作ってみる

自己決定理論のカギとなるのは、「選手(学習者)の自己決定」です。そのため、練習の中で選手が自己決定できる機会をつくれると練習へのモチベーションを高めやすくなります。

例えば、全体練習の中の10分間を選手が練習したいことを練習できる個人練習の時間にすることはアイディアとして考えられます。

その際に、単純に「好きに練習していいよ」と選手にいきなり委ねるのではなく、個人練習が始まる前に「どんな技が上手くなりたい?」「どんな練習をして何を上達させたい?」といったように、選手にはっきりと練習した内容を決める時間と機会を作るのが大切なポイント。

選手自身が自己決定の機会で「自分で決めた練習」だと自覚できるようにするのが、効果的に選手のモチベーションを高めるコツです。

他には、チームで話し合って何を練習するかを選手同士で決める方法もあります。選手同士で練習内容を決める場合には、チーム全体がある程度選手同士で話し合う経験があったり、選手同士で意見を出し合えるようなチームである必要があります。

話し合いに慣れていない選手同士だと、話し合いだけで多くの時間を割いてしまう可能性もあるので注意しましょう。

選手同士で練習内容をスムーズに決めてもらうためには、選手個人で練習することを自己決定する機会を作り、徐々に小さなグループで意見をすり合わせて練習する内容を決めるのが効果的です。

このように、選手の自己決定を促す方法にはさまざまなやり方があります。

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まとめ

今回はスポーツ心理学のモチベーション理論の中核にもなっている自己決定理論について説明しました。

理論の成り立ち、メカニズムなどは少し複雑に感じたかもしれませんが、研究成果の積み重ねを通して形になっていることを理解してもらえたら幸いです。

最後に自己決定理論に沿った取り組みを紹介しました。今回ご紹介したミニ理論の性質を踏まえた取り組みを行うことで、意図的に選手のモチベーションを高めるサポートができるようになります。

自己決定理論をうまく利用して、ご自身のコーチングをより良いものにしてみてはどうでしょうか。

参考文献

Deci, E. L., Eghrari, H., Patrick, B. C., & Leone, D. R. (1994). Facilitating internalization: The self‐determination theory perspective. Journal of personality, 62(1), 119-142.

Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2000). Self-determination theory and the facilitation of intrinsic motivation, social development, and well-being. American psychologist, 55(1), 68.

Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2019). Brick by brick: The origins, development, and future of self-determination theory. In Advances in motivation science (Vol. 6, pp. 111-156). Elsevier.

Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2020). Intrinsic and extrinsic motivation from a self-determination theory perspective: Definitions, theory, practices, and future directions. Contemporary Educational Psychology, 61, 101860.

スポーツコーチ同士の学びの場『ダブル・ゴール・コーチングセッション』

NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブではこれまで、長年スポーツコーチの学びの場を提供してきました。この中で、スポーツコーチ同士の対話が持つパワーを目の当たりにし、お互いに学び合うことの素晴らしさを経験しています。

答えの無いスポーツコーチの葛藤について、さまざまな対話を重ねながら現場に持ち帰るヒントを得られる場にしたいと考えています。

主なテーマとしては、子ども・選手の『勝利』と『人間的成長』の両立を目指したダブル・ゴール・コーチングをベースとしながら、さまざまな競技の指導者が集まり対話をしたいと考えています。

開催頻度は毎週開催しておりますので、ご興味がある方は下記ボタンから詳しい内容をチェックしてみてください。

ダブル・ゴール・コーチングに関する書籍

NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブでは、子ども・選手の『勝利と人間的成長の両立』を目指したダブル・ゴールの実現に向けて日々活動しています。

このダブル・ゴールという考え方は、米NPO法人Positive Coaching Allianceが提唱しており、アメリカのユーススポーツのスタンダードそのものを変革したとされています。

このダブル・ゴールコーチングの書籍は、日本語で出版されている2冊の本があります。

エッセンシャル版書籍『ダブル・ゴール・コーチングの持つパワー』

序文 フィル・ジャクソン

第1章:コーチとして次の世代に引き継ぐもの

第2章:ダブル・ゴール・コーチ®

第3章:熟達達成のためのELMツリーを用いたコーチング

第4章:熟達達成のためのELMツリー実践ツールキット

第5章:スポーツ選手の感情タンク

第6章:感情タンク実践ツールキット

第7章:スポーツマンシップの先にあるもの:試合への敬意

第8章:試合への敬意の実践ツールキット

第9章:ダブル・ゴール・コーチのためのケーススタディ(10選)

第10章:コーチとして次の世代に引き継ぐものを再考する

本格版書籍『ダブル・ゴール・コーチ(東洋館出版社)』

元ラグビー日本代表主将、廣瀬俊朗氏絶賛! 。勝つことを目指しつつ、スポーツを通じて人生の教訓や健やかな人格形成のために必要なことを教えるために、何をどうすればよいのかを解説する。全米で絶賛されたユーススポーツコーチングの教科書、待望の邦訳!

子どもの頃に始めたスポーツ。大好きだったその競技を、親やコーチの厳しい指導に嫌気がさして辞めてしまう子がいる。あまりにも勝利を優先させるコーチの指導は、ときとして子どもにその競技そのものを嫌いにさせてしまうことがある。それはあまりにも悲しい出来事だ。

一方で、コーチの指導法一つで、スポーツだけでなく人生においても大きな糧になる素晴らしい体験もできる。本書はスポーツのみならず、人生の勝者を育てるためにはどうすればいいのかを詳述した本である。

ユーススポーツにおける課題に関する書籍『スポーツの世界から暴力をなくす30の方法』

バレーが嫌いだったけれど、バレーがなければ成長できなかった。だからこそスポーツを本気で変えたい。暴力暴言なしでも絶対強くなれる。「監督が怒ってはいけない大会」代表理事・益子直美)
ーーーーー
数えきれないほど叩かれました。
集合の際に呼ばれて、みんなの目の前で顔を。
血が出てたんですけれど、監督が殴るのは止まらなかった……
(ヒューマン・ライツ・ウォッチのアンケートから)

・殴る、はたく、蹴る、物でたたく
・過剰な食事の強要、水や食事の制限
・罰としての行き過ぎたトレーニング
・罰としての短髪、坊主頭
・上級生からの暴力·暴言
・性虐待
・暴言

暴力は、一種の指導方法として日本のスポーツ界に深く根付いている。
日本の悪しき危険な慣習をなくし、子どもの権利・安全・健康をまもる社会のしくみ・方法を、子どものスポーツ指導に関わる第一線の執筆陣が提案します。

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略歴 2007年東海大学理学部情報数理学科卒、2009年東海大学体育学研究科体育学専攻修了。東海大学大学院では実力発揮と競技力向上の為の応用スポーツ心理学を学ぶ。 2014年8月よりテネシー大学運動学専攻スポーツ心理学・運動学習プログラムに在籍。スポーツ心理学に加え、運動学習、質的研究法、カウンセリング心理学、怪我に対するスポーツ心理学など幅広い分野について学ぶ傍ら、同プログラムに所属する教員・学生達のメンタルトレーニングを選手・指導者へ指導する様子を見学し議論に参加する。 2016年8月より同大学教育心理学・カウンセリング学科の学習環境・教育学習プログラムにて博士課程を開始。スポーツスキルを効率良く上達させる練習方法、選手の自主性を育む練習・指導環境のデザインについて研究している。学術的な理論や研究内容に基づいた実践方法を用いて、日本・アメリカのスポーツ選手に対して実力発揮のメンタルスキルの指導とスポーツスキル上達のサポートも積極的に行なっている。