サッカーを通して人間性を育てる~鳥實裕弥さん~

NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブでは、DOUSHI~これからのスポーツ教育の話をしよう~というコミュニティを運営しています。

このコミュニティとコーチング・ステーションのコラボ企画として、オープンインタビューという企画がスタートしました。

この記事では、オープンインタビュー企画第一弾として、NPO法人アビースポーツクラブの鳥實裕弥さんをゲストにお迎えして、サッカーを通して人間性を育てることについてお伺いしました。

サッカーは常に身近な存在だった

河野

よろしくお願いいたします!簡単に鳥實さんの経歴をご説明していただいてもよろしいでしょうか。

 

鳥實

はい、北海道のアビースポーツクラブというNPOのスポーツクラブの事務局をやっている鳥實裕弥(とりみゆうや)と申します。よろしくお願いします。経歴でいうと、僕はちっちゃい頃からサッカーをやってきたんですけども、地元が九州の佐賀県で、小中高とずっと地元の佐賀だったり福岡だったりでサッカーをしていました。そのまま高校を卒業して、サッカーの指導者にもなりました。

で、サッカーを教えているうちに、サッカーしかやっていない自分に対してとか、サッカーだけを教えている自分に対してちょっと疑問を持つことがありまして。それで、一度サッカーから離れて、ちょっとヒッチハイクで日本一周しようと思い旅に出たんです。

旅に出たその翌日に、2018年の北海道の地震があって、ボランティアをしているうちに、今いる安平町という街の魅力に取り憑かれて。移住して、今3年目。活動としてはスポーツクラブの事務局と、あとはサッカーチームの中学生のコーチをやらせてもらっています。

 

河野

ありがとうございます。気になる経歴がたくさんありましたので、ちょっと深堀りしていきたいなと思っております。では、私の方から質問なんですけども、そのサッカーの魅力というか。サッカーの魅力ってどのようなものでしょうか?

 

鳥實

サッカーの魅力。いきなりなかなか難しい質問ですね(笑)

一言で言うと難しいんですけど、チームプレーなので自分がいかに上手にプレーしたとしても、試合はそれで勝てるわけでもない。

逆に、自分がちょっと調子が悪いときでも味方と協力しあって、味方がカバーしてくれたら試合に勝つことできたり、チームとしていいプレーができたりというところで。なんか、みんなで作り上げるっていうところが一番の魅力かなって思います。

 

河野

ちなみにサッカーは、何年生から始めたんですか?

 

鳥實

小学校1年生からです。

 

河野

そのきっかけは何だったんですか?

 

鳥實

きっかけはですね。僕、佐賀県の鳥栖市という街に生まれて。その鳥栖市にはサガン鳥栖って今、J1で活躍しているプロのチームがあるんですけど、ちっちゃい頃からサッカー選手と触れ合うことがよくありまして。近くのスーパーに行ったらサッカーの選手がいたりとか、公園でサッカーしてたらプロ選手がちょっと通りがかって教えてくれたりとか。

そういう環境で育って、サッカーをやるのが当たり前っていうこともあって、自然とサッカーをやってましたね。

 

勝利至上主義への疑問を解決するために

河野

もともと佐賀に住んでいて、ヒッチハイクを通して北海道に行ったっていうことだったんですけど、どんな心境の変化があったのでしょうか?

 

鳥實

まずサッカーのコーチを、高校卒業してやっていたって言ったんですけど、本当の最初の部分で言えば、もともとはスポーツコーチじゃなくてスポーツトレーナーになりたかったんですよね。
トレーナーの勉強をしながら、サッカーのコーチをやって、自分の見てる子どもたちが怪我したときの対応だったりというのもしてたんです。

コーチとして関わっていくうちに、トレーナーっていう仕事ももちろん魅力的に感じる一方で、コーチっていう立場の方が僕には合ってるのかなって思いサッカーのコーチになりました。九州ってたぶん、全国的に見てもやっぱり勝利至上主義というか。体育会系みたいな文化が結構根強いなと思っています。

勝つことがすべてっていうことに疑問は持ちつつも、でも勝たないと評価されず、勝つことが素晴らしいこと、っていう環境の中で育ったんですけど、それを変えるためにはどうしたらいいかっていうのが、自分のなかに具体的には分からなくて。

そういう悩みを数年抱えていたんですけどこのままだったら、こういう疑問を持って教えている自分もそうだし、教えられている子どもたちにとってもあまり良い影響はないのかなと思っていたんですよね。それで、違う世界を見て、新たな価値観とかを踏まえて、サッカーに戻ろうと思って、いったんヒッチハイクで旅に出ようと思いました。

 

河野

アツイですね!そもそも、どうしてヒッチハイクだったんですか?

 

鳥實

そうですね、どうせやるなら今までやってないことをやろうかなと思たんです。そのとき僕がすごくお世話になってる先輩とかと、「何しようかな」っていう話をしていたときに、「1回旅に出てみたら」って言われました。最初は僕、車で日本一周しようかなと思ってたんですけど、車で行くとお金がすごいかかるじゃないですか(笑)

それで、なんかないかなって思ったときに、ヒッチハイクだったらお金の部分もそうなんですけど、いろんな人と関わることができるし、車で行くよりも、たくさんの経験ができるかなっていうことで、ヒッチハイクにしました。

 

河野

なるほど!ヒッチハイクの最初は北海道でしたっけ?

 

鳥實

そうです。北海道の宗谷岬っていう日本の最北端の岬を目指して、出ましたね。最終的なゴールは決めてたんですけど、そこまでのどういうルートで行くかっていうのは全然考えてなかったです。でも、意外とスムーズに、2週間ぐらいで行けたので、割と寄り道せずに行った感じですね。

 

河野

ちなみに、安平町の良さとは?

 

鳥實

安平町に来た経緯としてはヒッチハイクの旅に出た翌日というか、8時間後ぐらいに地震があって、それでボランティアをしに行ったことがあります。安平町に入って一番最初にやったのが、ボランティアの活動でした。

まったく知らない土地の中で、ボランティア活動で地域の人と関わることがたくさんあったんですけど、やっぱり一番はその地域の人の温かさというか、人柄ですね。

本当にみなさん温かくて。「何か助けになることないかな」って思ってボランティアをしに僕たちが、実際には行ったお家のお母さんとかに本当によくしていただきました。たくさんお話しして、逆に僕たちが勇気をもらうというか、本当に人の温かさですね。

 

多彩な活動の一貫した目的は「子供たちのスポーツのために」

河野

鳥實さんの活動をもう少し詳しく教えていただけますか?

 

鳥實

はい。今やっている活動としては、NPO法人のアビースポーツクラブの事務局として、いろんなイベントの企画だったり、その運営ですね。アビースポーツクラブは、地域の少年団だったり子どもたちのスポーツ環境を守ろうっていうところで立ち上がった団体なので、スポーツ少年団の活動の支援として送迎バスを運行したり、事務作業のお手伝いとかをやっています。

安平町が7,500人ぐらいの小さな町なので、その中でもスポーツ活動ができるように、スポーツに取り組むきっかけをたくさん作れたらいいなって思っています。スポーツ少年団に入っていない子どもたちでも楽しめるイベントとか、僕はサッカーが専門なので、サッカーのスクールとかを運営しています。

 

河野

結構多彩ですね。

 

鳥實

そうですね。でもなんかなんだろう、大きいくくりで言えばひとつというか、いろんなことをやっているんですけど、目的としては「子どもたちのスポーツのために」っていうところですね。

あとは、仕事の部分で言えば、安平町の学校法人リズム学園が運営している、はやきたこども園というこども園で勤務しています。そこで、昨年までは年長の学年のサポートティーチャーとしてお手伝いしていたりもします。今年は、子どもたちの送迎バスの運行とかをやっています。

 

後藤

「子どもたちのスポーツのために」っていう目的に至った背景を、少し詳しくお聞きしてもいいですか?

 

鳥實

はい。一番は、うちの法人、クラブが立ち上がった理由としても、その「子どもたちのスポーツ環境を守る」ということがあります。なぜうちのクラブが立ち上がったかっていうと、全国的に少子化だったりとか、スポーツ活動する子どもたちが減っていたりします。

あとは安平町でいうと、震災によって9割ぐらいのお家が被災をして、それによって町外に引っ越しをしたりとかっていうことがたくさんあって子どもたちが少なくなっているという現状があります。

でも、僕自身、サッカーで育ってきた人間でスポーツから学んだことっていうのは、本当に数えきれないなって思っているので、スポーツをやる子どもたちも、やりたいけどやれないっていうことをなくしたいなというのが大きいです。やりたいことを実際にやれるように、というのが前提としてありますかね。

 

後藤

ご自身のなかで、その「スポーツをやりたいけどやれていない」みたいな原体験というか、過去の体験みたいなものって何かあったりしますか?

 

鳥實

僕自身でいうと、怪我ですね。トレーナーになろうと思ったのも、僕が中学生の頃に、トータルで1年間ぐらい怪我でサッカーをできない時期がありまして。その時って、今振り返って思うとすごい荒れてたんですね、ストレスが溜まっちゃって。

僕の場合は怪我だから仕方ないと言えば仕方ないんですけど、怪我じゃなくて家庭の事情だったりとかで、お父さんお母さんが送り迎えができないからスポーツができないとかって、その子どもの問題じゃないじゃないですか。

なので、その子どもがやりたいって思ったことが大人の都合とか家庭の事情とかいろいろ大変なところもあると思うんですけど、そういったところを僕たちが、クラブ側としてサポートできないかなっていうのが大きいですね。

 

河野

なんか「子どもたちのためのスポーツ」っていうところがすごくキーワードだなと思いました。先ほど、最初におっしゃってたんですけど、九州の勝利至上主義みたいな文化がちょっとあったりだとか。

九州だけではないとは思うんですけど、こうやっぱり、一部スポーツのなかではそういったことがあり、お聞きしたいなと思ったのは、鳥實さんのスポーツコーチとして意識をしていることというか。そういった原体験があり、今、指導のなかでどんなことを意識しているのかなってのがすごく気になりました。

 

鳥實

はい。スポーツのなかで、教えるなかで意識しているというか。僕の目標としている指導者がいて。それは僕が小学校6年生のときに教えてくれていた監督さんなんですけど、その方の指導を振り返ると、サッカーの指導ももちろん素晴らしかったんですけど、やっぱりこう、人間性というか。

人として大事な部分をすごく教えていただいたなっていうのがあります。その結果として、チームとしても結果が出るようになって、個人としてもうまくなったっていう実感があるので。やっぱりサッカーの上達、スポーツの上達と人間性の向上っていうのはリンクしてるなと思っていて、競技面だけではなくて、「人として」という部分の指導は大切にしてます。

 

河野

なるほど。具体的にその人間性っていうものにフォーカスを当てて、どういうことやってますとかって何かあったりしますか?技術的な指導とかっていうのは、いろんなもやり方もあると思うんですけど。人間性を育てるうえで意識してるような。例えば、1日の練習のなかで最初はこういうことやってますよとかって具体的な活動があれば教えていただけますか?

 

鳥實

具体的にいつもルーティンとしてやることっていうのは、あまりなくて。いつもやっているっていうわけではないんですけど、指導してるうえで必ず、僕自身が毎回練習の前に意識してるのは、僕が教えるというよりは、僕もそうだし、選手と一緒に成長していこうっていう、そういうマインド。トップダウンではなくて、一緒に学んでいくっていうスタイルは、大事にしています。

なので、「こういうときはこういう風にしなさい」とか「こういう風にしたほうがいいよ」って言うよりは、どちらかというと課題に対して一緒に考えていくっていうスタンスです。実際に僕が思っていた課題の解決方法よりも、子どもたちと話し合ったほうがさらにいいものができあがることも多々あるので。

トップダウンにならないように、っていうところですね。それはまさしく、スポーツコーチング・イニシアチブさんと一緒にやらせてもらっている、ダブル・ゴール・コーチングのそれです。うちのアビースポーツクラブの研修のなかで学んでいることっていうのが、本当に非常に勉強になって、活かしていけているかなと思っているので、ありがたいですね。

 

ボトムアップ的指導における葛藤

後藤

トップダウンではなくボトムアップみたいなところでおっしゃっていただいたと思うんですが、そのボトムアップ的な指導をされるなかで、難しさとか葛藤みたいなのってあったりしますか?

 

鳥實

いやあもう、本当に数えきれないくらいありますね(笑)昨日も、サッカーの練習試合に行ったんですけど。もちろんいいプレーができるときもあれば、そうじゃないときもあって。特にうまくいかないときっていうのは、やってるほうもちょっとストレスがかかるというか。「どうしたらいいんだろう」って、ちょっと迷いが出ることでさらにちょっと消極的になっちゃったりとか。

そういうときに、コーチとして子どもたちのマインドを変える。そのパワーを持った言葉がけというか、そういう関わり方っていうのが、もっといい方法だったり、もっといいコーチングができるようになりたいなっていうのが、毎日あります。

 

後藤

実際にそのなかで、具体的にどういう風に、自分のコーチングを磨いていらっしゃるんですか?

 

鳥實

やっぱり、ダブル・ゴール・コーチングの研修のときですかね、一番は。自分でも試合の後とかは振り返ったりもするんですけど、自分の頭の中で考えたらやっぱり幅はちょっと狭くなっちゃうかなと思っていて。

ワークショップみたいな形で、いろんな人がいる前で、僕の悩みだったりとかっていうのを共有すると、すごくいいアイディアをもらったり。実際にそれを次に活かしてみたときに、すごく改善されたりっていうことがあるので、やっぱり自分だけじゃなくていろんな人と、悩みだけじゃなくてポジティブなことも共有するっていうのは、自分のなかでは大切な時間になっています。

 

目標となる指導者との出会い

河野

小学校6年生のときの指導者、人間性をすごく意識していたっていう方との出会いがあったと思うんですが、その方のお話をもう少し聞いてみたいなと思いまして。具体的、どんな方だったとかどういった部分に惹かれたとかってありますか?

 

鳥實

小学校5年生まで別のコーチの方がいて、そのコーチの方も素晴らしかったんですけど、その6年生で教えてもらっていたのがタナカさんっていうコーチの方で。強烈に覚えていることが2つありまして。最初、「コーチ」とか「監督」って呼んでたら「そういう風に呼ばないでくれ」って言われて、それからずっと「タナカさん」って呼んでるんです。

理由を聞いたら、「コーチでもあるんだけど、一人の人間だから。一人の人間として君たちと向き合いたいから、コーチと監督っていう役職じゃなくて、名前で呼んでほしい」っていうのを最初に、初対面のときにそういう話をされていて、それがすごく残っています。もうひとつが、サッカーの対戦相手のことを、僕達が「今日の敵はどうだ」とかって友達と話していたときに、通りがかったタナカさんが、「ちょっといいか」と。

「サッカーに敵はいない。対戦 “ 相手 ” はいるんだけど、敵はいない」って。なんでかって言ったら、「同じサッカーっていうものをやってる仲間で、お互いを高め合うための練習試合の対戦相手だから、敵じゃない」っていう話をされて。なんか、そこは本当。20年ぐらい経った今でも、ずっと残ってますね。

タナカさんも、やっぱり素晴らしい方で。ずっとサガン鳥栖で教えられていて、今は高校生の監督でされているんですけど。そういう人間性の部分とかの指導ももちろんだし、結果としても、この前、日本のクラブチームの大会で優勝したり、日本チャンピオンなったりとかっていうことも経験されてるんです。

 

河野

その、自分がその人間性っていうところの指導に対するひとつのロールモデルというか。そういう方に教えていただいているとすごくありがたいことなんだろうなと思って。なんか僕も、もっともっとがんばらなきゃなって思いました。

 

鳥實

本当に、僕が今の子どもたちにとってのタナカさんになれるように、僕もちょっとがんばらなきゃなって。

 

サッカーで学んだチャレンジ精神

後藤

今、具体的に自分の実生活のなかなどで「サッカーやっててよかったな」って思う瞬間はありますか?

 

鳥實

逆に、僕はたぶん、サッカーからすべてを学んできたと思うので。具体的にひとつを挙げるとするなら、やっぱり、「やったことのないことにチャレンジすること」。チャレンジに対してずっと粘り強く向き合うことが、やっぱりスポーツで、僕の場合はそれをサッカーから学んだかなーって思います。

今、アビースポーツクラブの事務局として、イベントの企画とかもやってるんですけど。事務作業も結構やっていて。僕パソコン全然使えなかったんですけど、そういうパソコンの事務作業をせざるを得ない状況になったときに、指1本でキーボードを打ってたんですよ。それも「ちょっとブラインドタッチ挑戦してみようかな」とかっていうので、だんだんできるようになったりとか。

会計のこともまったく知識がなかったんですけど、たくさんの人に教えてもらったり、わからないところを自分なりに考えたりとかしながら今では、支障ないくらいにはできるようになったからっていうのがあるので。ちょっと困難な状況、言うなら自分が得意じゃないところに対しても飛び込めるようになったかなって。それはスポーツのおかげかなって思います。

 

選手とコーチではなく人と人としての関係性を大切に

河野

今、サッカーのコーチをされている中で自分しか出せない価値というか、サッカーのなかで、具体的にここは何かすごく力を入れてる、自分が指導するうえで、ここは外せないなっていうところとかってありますか?ここは自分の指導スタイルだなと思っている部分など、お聞かせいただければと。

 

鳥實

まさに、ダブル・ゴールのなかでもあると思うんですけど。ELM(エルム)のなかの、特にMのMistake are OK(ミステイク オーケー)という部分で。「失敗してもいいんだよ」っていう。子どもたちが安心してプレーできるための、いい意味で緊張感のない状態を作りたいです。

失敗したら怒られるとかじゃなくて、失敗しても挑戦したことをしっかり認めてもらえるんだっていう。そこは、僕のなかでは常に練習で、毎回「失敗してもいいんだよ」、「失敗が悪いことじゃないんだよ」ってのは言ってたりしますね。

あとは、僕の指導のキャラクターというか。コーチングのメソッドとはちょっと違うと思うんですけど、選手との距離感とか関係性の作り方みたいなところですね。

子どもたちと、僕にとってのタナカさんがそうであるように、コーチと選手じゃなくて、やっぱり人としての関係性を大事にしたいので、サッカーじゃない話をうちに今いる15人の子どもたちと毎回するようにしています。もちろんできないときもあるんですけど、毎回練習のなかで毎回全員一人ずつと、サッカーじゃない話をできるようにっていうのは心がけてます。

「子どもたちから学んだこと」

参加者

「子どもたちから学んだこと」にはどのようなことがありますか?

 

鳥實

コメントありがとうございます。子どもたちから学んだことは本当にたくさんあるんですけど。安平町の子どもたちから学んだことっていうと、本当に「素直さ」ですね。北海道の子どもたちって全員、素直なんですよ。本当にみんないい子で。

やっぱりそういう子どもたちって、吸収がすごく早いですよね。1回試合でミスしたときも、その次の修正だったりとか。「こういう風にしたらいいんじゃない」っていうアドバイスを本当、素直に受け入れる。

僕自身、ちょっと中学生の頃とか特に、素直じゃなかったなって、今、振り返って思うんですけど。やっぱり素直に、1回受け入れるっていうのはすごく大事だなって、子どもたちから学んで。今は本当に、誰からの意見も、僕も受け入れられるような素直さを持てるようになりました。

 

河野

ちなみに、そことちょっと関連するんですけど。逆に言うと、今のチームを指導していての課題はありますか?素直な子たちがいてすごくいいチームなんだろうなって思うんですけど、そのなかで今、「こういったところが大変だな」とか、そういった課題があれば教えていただけますか?

 

鳥實

課題でもあるし、子どもたちのよさでもあるんですけど、優しいっていう部分ですね。例えば、高校は部活でサッカーやってたんですけど、道具の片付けとかって、1年生がやってたんですよ。それがうちの子どもたちは1年生じゃなくて、3年生がやるんですよね。そういう姿勢を見せるというところだったりとか。

チームに長くいる分、チームでやるべきことってのが3年生の子の方がしっかりわかっている。それはすごくいいことだけど、それが同時に課題でもあって。自分たちですべてをやっちゃうから、1、2年生がやらなくてもいいというか。1、2年生はやらなくても、チームとしては困らない状況なんですよね。

なので、いいところでもあるし課題でもあるっていうのは本当に、その優しさで。伝えていくっていうことを、僕がそういう風に仕向けていくっていうところが課題なのかな。というのは思います。

 

河野

なるほど。そういった部分に向けてこれから、走っていこうっていうところですね。これからこういう風にやっていきたいなとかっていうのがあればお聞かせいただけますか?

 

鳥實

うちの安平町って、7500人の小さな町ですが、これまで30年以上、子どもたちのスポーツ少年団の活動がずっと続いてきたんです。それは、地域の大人たちが子どもたちのために本当に努力して継続してきた文化が根強く残っていると思うんですが、その文化をよりアップデートして、継続していくっていうところを、今の僕の立場で作っていけたらなーっていうところがあります。
具体的に言うと、少年団だったりとか町内の部活動の支援として、送迎のサポートはもちろんなんですけど、指導の質をより高めていくっていう部分。

子どもたちのサポートだけじゃなくて、子どもたちと関わる大人のサポートっていうのもやっていければなって思います。結果的にスポーツの指導として子どもたちによりいいものを提供することで、その子どもたちが大人になったときに「安平町にいてよかったな」とか「スポーツやっててよかったな」っていう、そういう気持ちが芽生えるようになって欲しいです。

そういう気持ちが芽生えたら、その子どもたちが大人になったときに「じゃあ今度は自分が子どもたちに何かをしてやろう」みたいな、いいサイクルができるように、スポーツ文化をまたアップデートしていけたらなって思っています。

 

インタビュワープロフィール

鳥實 裕弥(トリミ ユウヤ)
1993年10月27日生まれ(27歳)
佐賀県・鳥栖市出身

競技歴(全てサッカー)

  • 小学生時代:サガン鳥栖U-12
  • 中学生時代:久留米AZALEAU-15
  • 高校時代:鳥栖工業高等学校サッカー部
  • 社会人時代:久留米AZALEA

指導歴(全てサッカー)

  • 久留米AZALEA(福岡県)
  • FC LIBRE(福岡県)
  • Felire FC(北海道)※現在

小学1年生からサッカーをはじめ、高校を卒業すると同時に指導者の道へすすむ。6歳からサッカー漬けの毎日を送る中で、サッカー以外の世界に興味を持ち、自分自身の世界観を広げるため、ヒッチハイクで日本一周の旅に出る。しかし、その翌日2018年9月6日に北海道胆振東部地震発生。当初は日本最北端の宗谷岬を目指していたが、地震からの災害ボランティアとして活動するため安平町に目的地を変え、出発から2週間で無事到着。

その後、2ヶ月間ほど災害ボランティア活動を行っていく中で、安平町の人の温かさや、ともに活動する仲間たちに恵まれ移住することを決意。移住してからは、(一社)復興ボランティアセンター(現:(一社)ENTRANCE)のメンバーとしてまちづくりの活動を行い、現在は学校法人リズム学園はやきた子ども園に勤めながら、安平町の総合型地域スポーツクラブの事務局として活動中。

事業実績

  • 少年団活動の送迎サポート
  • ドリ塾(サッカースクール)
  • スポーツ探検隊
  • 大人のバレーボール教室
  • アビー・スケート・フェスティバル
  • ダブル・ゴール・コーチングワークショップ

参考資料

Coaching station Question

NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブについて

スポーツコーチング・イニシアチブ

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ABOUTこの記事をかいた人

クラタ コージローと申します。ライターを中心に、動画編集やメディア運営などを主な活動としているフリーランサーです。1983年生まれ。京都在住で、妻と子供2人の家族4人、日々ワイワイと生活しています。「楽しいと思うこと」にアンテナを向け、感性と人間関係を大切にしながら仕事に励む毎日。活動履歴は、以下のページにまとめていますのでご覧ください。