カヌースポーツのポテンシャル~自然を楽しもう~(一般社団法人カヌーホーム 尾野藤直樹さん)

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これまで3回にわたって、カヌーのことをお話してきました。ですが、皆さんの中で実際にカヌーに乗ったことがあるという方はどのくらいいるでしょう。修学旅行やキャンプ先などで、一度は体験をしたことがあるという方が多いのではないでしょうか。

では、今まで「カヌー」とWeb検索をしたことはありますか?そんな皆さんにお伝えしたいこと。それは、カヌーの世界は縦にも横にも広く、誰もが自分に合った形で楽しむことができるスポーツだ、ということです。

どこでも、カヌー

カヌーの多様性というと、たとえば、まずは場所。川、海、湖、池 など、人間とは……切っても切れない水辺が、活動場所になります。日常の喧騒からすこし離れて、自然を感じることができます。

次に、人数。1人乗り、2人乗り、4人乗り 更には ……22人もの人数で漕ぐタイプのカヌーもあり、個人の趣味にするもよし、チームで成しとげる達成感を目指すもよし。様々な人と交流ができます。さらには、競技やレジャーの幅広さ。静水面を進む競技もあれば、激流を下るポイント制の競技、あるいはゴールの得点を競う球技もあります.

また、障害者の方にも、パラカヌーに乗るという選択肢があります。趣味としてカヌーを楽しむのであれば、カヌーに乗って、釣りを楽しんだり、野鳥を観察したり、絶景を見る旅に出かけることもできます。

カヌーが多様に発展してきたワケ

カヌーがそれぞれに枝分かれして発展してきたのも、考えてみればごく自然なことで、人間は川や海の近辺に集落を築いてきたことが多く、私たちは水によりそって生きてきました。

カヌーは、移動や運搬の手段として発展していく中で、例えば海では波に乗りやすい形状、激流下りでは小回りが利くサイズ感、など、自然環境に合わせて、艇の形も、カヌーの楽しみ方も発展してきました。祭事の競り船といった目的で人々の生活を彩るものになっていったカヌーもありました。

現在に至っては、動力船や様々なテクノロジーの発展に伴い、日常生活からは少し遠ざかってしまったかもしれませんが、カヌーが発展してきた中で、「自然」というキーワードは重要な要素でした。

そして、昨今のレジャーブームやSNS映えブームの中で、SUP( 1)やフリースタイルカヤック(※※2)が注目を集めています。

※1Stand Up Paddlingのことで、ボードの上に立ち、パドルを使って漕ぐ種目

※2 激流の波のポイントの上で、技を披露しポイントを競う種目

多様なカヌーに共通する身体性

カヌーがそれぞれに枝分かれしている一方で、どの種目にも共通しているのは、「パドル」と「艇」を使って、自身の「身体」を思う方向へ動かすという点です。つまり、道具と道具を介して、自分の身体を動かす必要があります。そうなると、自身の身体を動かすことに制限が加わり、思った通りに動くためには、高度なテクニックが必要です。

さらに自然の中で漕ぐということは、波や風の影響 も直に受けるので、陸上では味わえない難しさ、面 白さがあります。パドルと艇を使って、自然に反応 する身体感覚も感じることができるでしょう。

このように、自然の中で、動力を使わず、自身の身体性を感じながら活動をすることが、カヌーに共通した魅力であり、競技として向上心を持って 取り組む人の 心も、レジャーとして 熱中している方の心も掴まれているのです。競技の面での応用 として、道具と道具に挟まれているという点を生かして、カヌー種目間でのクロストレーニングや、スキー競技のトレーニングに発展させることができます。

実際に重心移動や 軸意識 を持つために夏はカヌー、冬はクロスカントリースキーを実施しているチームもあります。

カヌーが見せてくれる世界

カヌーに取り組むと、水上散歩 を楽しむ、あるいは体力を鍛えて、技術力を 鍛えて、チームプレーを磨いて、競技に打ち込むことができます。様々な進歩発展によって、現代は、自然のなかで身体性を存分に発 揮するという体験が少なくなってきたかもしれません。

そんなとき、カヌーが、皆さんにそんな世界を見せてくれるきっかけになるかもしれません。ぜひ 、「カヌー」と検索してみてください。

カヌーホームでも各地 の情報 発信を行っていますし、レジャーのカヌー体験ができる場所がいくつも見つかることでしょう。そのときには、それぞれの水辺の航行ルールやマナ ーがあるため、各都 道府県 の市町村 やカヌー 協会 などが 推奨 するルールやマナ ーは 適切に 守っていただき、カヌーを楽しんでくださいね

スポーツコーチ同士の学びの場『ダブル・ゴール・コーチングセッション』

NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブではこれまで、長年スポーツコーチの学びの場を提供してきました。この中で、スポーツコーチ同士の対話が持つパワーを目の当たりにし、お互いに学び合うことの素晴らしさを経験しています。

答えの無いスポーツコーチの葛藤について、さまざまな対話を重ねながら現場に持ち帰るヒントを得られる場にしたいと考えています。

主なテーマとしては、子ども・選手の『勝利』と『人間的成長』の両立を目指したダブル・ゴール・コーチングをベースとしながら、さまざまな競技の指導者が集まり対話をしたいと考えています。

開催頻度は毎週開催しておりますので、ご興味がある方は下記ボタンから詳しい内容をチェックしてみてください。

ダブル・ゴール・コーチングに関する書籍

NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブでは、子ども・選手の『勝利と人間的成長の両立』を目指したダブル・ゴールの実現に向けて日々活動しています。

このダブル・ゴールという考え方は、米NPO法人Positive Coaching Allianceが提唱しており、アメリカのユーススポーツのスタンダードそのものを変革したとされています。

このダブル・ゴールコーチングの書籍は、日本語で出版されている2冊の本があります。

エッセンシャル版書籍『ダブル・ゴール・コーチングの持つパワー』

序文 フィル・ジャクソン

第1章:コーチとして次の世代に引き継ぐもの

第2章:ダブル・ゴール・コーチ®

第3章:熟達達成のためのELMツリーを用いたコーチング

第4章:熟達達成のためのELMツリー実践ツールキット

第5章:スポーツ選手の感情タンク

第6章:感情タンク実践ツールキット

第7章:スポーツマンシップの先にあるもの:試合への敬意

第8章:試合への敬意の実践ツールキット

第9章:ダブル・ゴール・コーチのためのケーススタディ(10選)

第10章:コーチとして次の世代に引き継ぐものを再考する

本格版書籍『ダブル・ゴール・コーチ(東洋館出版社)』

元ラグビー日本代表主将、廣瀬俊朗氏絶賛! 。勝つことを目指しつつ、スポーツを通じて人生の教訓や健やかな人格形成のために必要なことを教えるために、何をどうすればよいのかを解説する。全米で絶賛されたユーススポーツコーチングの教科書、待望の邦訳!

子どもの頃に始めたスポーツ。大好きだったその競技を、親やコーチの厳しい指導に嫌気がさして辞めてしまう子がいる。あまりにも勝利を優先させるコーチの指導は、ときとして子どもにその競技そのものを嫌いにさせてしまうことがある。それはあまりにも悲しい出来事だ。

一方で、コーチの指導法一つで、スポーツだけでなく人生においても大きな糧になる素晴らしい体験もできる。本書はスポーツのみならず、人生の勝者を育てるためにはどうすればいいのかを詳述した本である。

ユーススポーツにおける課題に関する書籍『スポーツの世界から暴力をなくす30の方法』

バレーが嫌いだったけれど、バレーがなければ成長できなかった。だからこそスポーツを本気で変えたい。暴力暴言なしでも絶対強くなれる。「監督が怒ってはいけない大会」代表理事・益子直美)
ーーーーー
数えきれないほど叩かれました。
集合の際に呼ばれて、みんなの目の前で顔を。
血が出てたんですけれど、監督が殴るのは止まらなかった……
(ヒューマン・ライツ・ウォッチのアンケートから)

・殴る、はたく、蹴る、物でたたく
・過剰な食事の強要、水や食事の制限
・罰としての行き過ぎたトレーニング
・罰としての短髪、坊主頭
・上級生からの暴力·暴言
・性虐待
・暴言

暴力は、一種の指導方法として日本のスポーツ界に深く根付いている。
日本の悪しき危険な慣習をなくし、子どもの権利・安全・健康をまもる社会のしくみ・方法を、子どものスポーツ指導に関わる第一線の執筆陣が提案します。

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