【Sports Coaching Lab】より良い部活、より良い教育のために今求められる「外部指導者」を考える

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「スポーツのコーチが学ぶ場を創る」ことを目指し、毎回様々なゲストスピーカーを招いて講演やワークショップを行う「Sports Coaching Lab(以下、SCL)」。

今回のテーマは「部活動の外部指導者」。

近年、学校の部活動においては教員の長時間労働や、教員数の減少に伴う専門性を持った指導力の低下といった問題が起こっています。そこで注目されているのが「外部指導者」の存在です。

学校外から専門的な指導を行えるコーチを招くことで教員の負担を減らすと同時に、生徒に対しては質の高い指導が実施できるというメリットがあります。2017年4月には文部科学省が学校教育法施工規則を一部改正し、外部指導者を学校職員と位置づけられることにもなりました。しかし外部指導者を招く費用はどう捻出するか、教員や生徒とどう良好な関係を築いていくかといったシステム的な課題もはらんでいる状況です。

そこで今回は、実際に外部指導者として活動する深田悦之氏と柳瀬浩之氏、教員として外部指導者と関わる深田真人氏を招き、外部指導者に関するインスピレーショントークを実施。セッションの後半では参加者も交えて外部指導者に求めるものを考えるワークショップを開催しました。なおファシリテーターはNPO法人スポーツコーチング・イニシアチブ代表理事の小林忠広が務めました。

ゆとり教育が生んだ「外部指導者の第一人者」

最初に登壇したのは杉並区立和田中学校テニス部で外部指導者にして、ロックシンガー、音楽プロデューサーが本業である深田悦之氏。ロックシンガーと部活動の外部指導者という立場はまったく交わりのないもののような印象を受けますが、氏が外部指導者となった背景には、2002年から全国の小中学校でスタートした「ゆとり教育」にありました。

2003年、深田(悦)氏は、東京都初の民間人校長を務めた藤原和博氏(現・奈良市立一条高等学校校長)から請われ、和田中学校で音楽の総合学習の外部サポーターを務めることになりました。この授業は好評で翌年も継続することになったのですが、その際に藤原氏より「女子硬式テニス部の顧問だった教員が異動してしまったため、テニス部のコーチもお願いできないか」と依頼され、同部の外部指導者としての役割も受け持つことになったそうです。

「もちろんテニスの指導経験はなかったので、はじめは“それは無理です”と言ったのですが、最終的には引き受けることになりました。だから僕は、なろうと思って外部指導者になったわけではありません。ですがこのように、学校内部の人材不足を補填することが、外部指導者に求められていることなんだろうと感じています」

こうして指導経験のない中で外部指導者となった深田(悦)氏ですが、先生や保護者も巻き込んで合宿を開催するなど、部活動に関わるステークホルダーをつなぐ取り組みを実施し、新しい「ブカツ」を創り上げていきました。この取り組みは自治体にも注目され、2016年から杉並区で開始された「部活動活性化事業」のモデルケースになったと言います。

一般的には「失敗だった」と言われることが多いゆとり教育ですが、深田(悦)氏はそのゆとり教育時代に外部指導者の第一人者となり、部活動のあり方を変える源流となりました。氏は最後に、ゆとり教育について次のような考えを述べて講演を締めくくりました。

「“ゆとり教育の概念そのものが失敗だったわけではなく、ゆとり教育を行える人材がいなかったことがうまくいかなった理由だと感じています。今、教育界では“アクティブラーニング(認知能力や社会的能力等の汎用的能力の育成を図るために、教員からの一方的講義形式の授業ではなく、体験学習やグループワーク等を盛り込んだ授業方式)”に大いに注目をしていますが、僕から見るとアクティブラーニングはゆとり教育時代の総合学習に通じるものだと思っています」

今後教育のあり方が変わっていく中で、学校側も様々な変化にさらされることになります。その際、学校側は外部の優秀な人材を見つけ、うまく活用していくことが求められます。一方で外部指導者にも、技術指導だけにとどまらず、部活動に関わるステークホルダーと良好な関係性を築く必要が出てくるでしょう。そのような観点から考えると、深田(悦)氏の取り組みには多くのヒントが詰まっていると言えるでしょう。

杉並区立和田中学校テニス部で外部指導者の深田悦之氏。現在では和田中学校以外の複数の学校で外部指導者として活動。また自身の経験を伝えるために、全国でロックコンサート的な講演活動を展開している

注意すべきは生徒との関係。推進の壁は費用面

続いて登壇したのは、神奈川県立深沢高等学校でバスケットボール部の顧問を務める深田真人氏。同校の国語の教員でもある氏からは、「教員と外部指導者の関係」「外部指導者を推進する上での課題」について講演いただきました。

以前に在籍した神奈川県立霧が丘高等学校では、外部指導者とともに生徒たちの指導にあたり、全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(通称、ウインターカップ)にも出場した実績を持つ深田(真)氏。現在の深沢高校でも外部指導者の協力を得て、生徒たちの指導に当たっています。そんな氏が外部指導者に求めるものは何なのか。それは「自分にはないもの」だと言います。

「“俺のクラス”や“うちの生徒”と表現する先生に会ったことがあると思いますが、先生というものは欲張りなんです(笑)。クラスやチームは“自分のもの”という意識が強いので、実は外部の人に口を出して欲しくない面もあります。ですが、生徒たちを成長させていくためにはいろんな視点から指導をすることが重要ですので、私にはない視点を持った人を求めています」

その一方で、教員、外部指導者、生徒という三者の関係性のバランスには注意を払っているとも話しました。

「家族関係に例えるとわかりやすいのですが、毎日接する両親のことは煩わしくなることがあるけど、たまに来る親戚のおじさんが優しいと、子供はそのおじさんは“両親よりもいい大人”として認識しますよね。先生と外部指導者も同様で、毎日私と接していると、生徒たちは私の嫌な面が見えてくる。そこに週に1,2回外部指導者が教えに来て褒められると、どうしても外部指導者の言うことばかりを聞くようになってしまいます。それはそれで生徒たちの救いになる面もありますが、行き過ぎてしまうとチームのバランスが崩れてしまいます」

このように注意すべきことはあるものの、「外部指導者の存在は子供たちのためにもとても重要」と深田(真)氏は話しますが、同時に外部指導者を活用していくことには大きな課題があることも指摘しました。それは費用面です。神奈川県の公立高校では外部指導者を招く際には費用を支払っているものの、月4回来てもらって支払える額は2万円足らず。外部指導者だけでは生活ができません。深沢高校の場合、近隣のスポーツクラブで働くスタッフに協力を得ているので外部指導者の生活を心配することはありませんが、「金額的に申し訳ないので、保護者会にお願いして費用を捻出し、交通費などを追加で支払っている」そうです。

では保護者の協力を得て費用を支払えばいいと考えるかもしれませんが、それは簡単なことではありません。例えば生活困窮者も少なくない教育困難校の場合、練習試合のために電車賃を支払うことも難しいという生徒も存在します。そうした生徒、保護者に費用負担を強いると部活から離れてしまうというリスクもあり、本末転倒になってしまいます。

「善意で協力をすることは日本の美徳と言えるものでもありますが、それだけで続いていくかというと難しい。これは常に感じていることです」と深田(真)氏。外部指導者はプロアスリートの受け皿になるという考え方もありますが、費用面は今後外部指導者を推進していく上で議論の的になる問題と言えるでしょう。

神奈川県立深沢高等学校でバスケットボール部の顧問を務める深田真人氏。「バスケットボールを通して、困難を乗り越える喜びや成長する喜びを感じてもらいたい」と話し、自身も外部指導者として近隣の小・中学生に指導をしている

「一定の距離」を取ることも求められる資質のひとつ

インスピレーショントークの最後を飾ったのは、スポーツチームや企業に対してリーダーシップ研修や意識改革研修、コーチング等を行うAtoEパートナーズ CEOの柳瀬浩之氏です。先に登壇した2名は技術的な指導を行う立場にいますが、柳瀬氏の場合は主にメンタル面の指導・サポートを行う存在。その立場から「外部指導者の立場として、監督や選手とどう関わるべきか」という話をしていただきました。

現在、外部指導者としては主に大学と高校の野球部に関わっている柳瀬氏。その役割は「監督が作りチーム像を明確化し、そのサポートをする」ことです。具体的な取り組み内容の紹介としてある大学の野球部の事例を紹介しました。

100人以上の部員を抱え、実力上位の選手をAチームに、実力で劣る選手をBチームに振り分けていたそのチームの指導者は監督とコーチの2名だけ。チームの隅々まで目が届かず、なかなか競争も活性化していなかったため、監督は柳瀬氏に「チーム内の競争を活性化させたい」というオーダー出します。そこで柳瀬氏は、Bチームの選手に対して「セルフブランディング」をさせるようにしたそうです。

「自分はどんな特徴を持っていて、どんなシーンで活躍できるか、チームに足りないものをどう補えるかといったような事柄を言葉で明確に表現し、資料に落とし込み、監督に対してプレゼンテーションするように指導しました。このプレゼンテーションをきっかけにチャンスを獲得し、その後Aチームで試合に出場できるようになった選手もいました」

こうしたきっかけを与えることで、選手と監督をつなぎ、チーム力を強化することが柳瀬氏の役割なのです。また、能力を伸ばすきっかけを与えるだけではなく、選手の不満を聞いたり、相談に乗ったりすることにも取り組んでいるそうです。「一時的にやる気が下がっている選手も、話を聞いてあげると再びやる気を取り戻せます。外部の人間だからこそ話せることもあるので、それもまた外部指導者の価値のひとつだと感じています」と柳瀬氏。

その一方で、「外部指導者が前に出すぎるのはよくないとも感じている」と、柳瀬氏は言います。

「僕自身はあくまでもサポート役なので、選手の目が外部指導者に向きすぎてしまわないように気をつけています。監督やコーチを立てつつ、彼らと選手をつなぐことを第一に考えています」

深田(真)氏も話したように、いかにスキルやメンタル面の強化に外部指導者が有効であっても、チームの屋台骨はあくまでも監督であり、顧問の教員です。そのことを意識して、チームに積極的に関わっていくと同時に一定の距離を取れることが、外部指導者に求められる資質のひとつと言えるでしょう。

AtoEパートナーズ CEOの柳瀬浩之氏。自身も大学まで野球部に所属しており、卒業後、アンダーアーマー等を経て独立。現在は年間100日以上の企業研修を行いながら、大学や高校の野球部で「勝利」と「リーダー育成」の両立を目指す取り組みを実施している

多様な能力が求められる外部指導者

三者の講演を終えると、参加者各自が感想をシェアするペアトークを実施。その後、参加者から登壇者への質問タイムとなりました。そこで出てきたのは「外部指導者のミッションは何か」というものでした。これに対し、3名は次のように回答します。

「深沢高校では勝つことももちろんですが、それだけではなく、生徒たちが“できなかったことができるようになる”ことを目指していますので、外部指導者の方にもその観点でトレーニングメニューを組むようにお願いしています。

また私自身が外部指導者として外に教えに行くときには、スキルを教えることが主なミッションですが、同時に、メインの指導者の方と子供たちの橋渡しになることを意識しています。メインの指導者の方どういう意図を持って指導しているのか、それを子供たちが理解できるように噛み砕いて伝えるといったようなことをしています」(深田(真)氏)

「中学生は子供と大人の分水嶺の時期ですから、ロジック的に話しても通用しない部分もある。つまり中学校は大人の世界とは違った難しい場所なんです。だからこそ、僕が大事にしているのは教員の方とのコミュニケーションです。様子がおかしい子がいたら先生に理由を聞くようにしますし、逆に、先生の方から僕に生徒の様子を聞きに来ることもあります。そうして状況を把握することは常に心がけています。

技術的な指導を行う上でも、コミュニケーションが足りないと練習をうまく進めることができないので、顧問の先生とは密に話し合うようにしています」(深田(悦)氏)

「僕が念頭に置いているのは“学生たちが社会に出た時に活躍できる人になる”ということです。そのために、自ら考えて競技に取り組んでもらうように指導しています。

チーム作りの主導権は僕ではなく監督にあります。監督が目指すビジョンを実現するために、どうすれば選手たちが自ら考えて動けるようになるか。それをサポートすることがミッションだと思っています」(柳瀬氏)

3名の話からは、外部指導者はあくまでもサポート役でありながら、その実、専門的な技術指導、生徒や先生の状況を察知する気配り力、そして彼らをつなぐコミュニーケーション能力が必要であることが垣間見えました。これらの点を考慮すると、外部指導者には多様な能力が求められていると言えるのではないでしょうか。

インスピレーショントークの感想をシェアする参加者たち

質問に答える深田(悦)氏

部活に関わる各ステークホルダーが外部指導者に求めるものとは?

最後に、「生徒」の立場から見てどのような外部指導者がいいか、「外部指導者」は自分にどのような資質・能力が必要と考えるか、「保護者」としてはどのような外部指導者がいいか、「学校/先生」の立場からは外部指導者に何を求めるの、ということについて、参加者が4つのグループに分かれてブレインストーミングをするワークショップを実施しました。

これは各テーブルごとに直感的に思い浮かぶワードをポストイットに書いて模造紙に貼っていき、そのワードをグルーピングし、グループごとに名前をつけるワーク。否定や反論はせず、ポジティブにアイディアを出していくことで、一人ひとりの思いやニーズを顕在化させ、新たな気づきを得ることを目的にしたものです。ワークが終了すると、各チームごとに発表を行いました。

【生徒の立場から望む外部指導者】

このチームは(1)もっと私の話を聞いてよ、(2)お願いだから、人間だもの、(3)非日常へようこそ、というタイトルの3つのグループを作りました。

(1)は「贔屓をしない」「体罰をしない」「相談に乗ってくれる」など、生徒に寄り添うことを求めるというもの。(2)は「あいさつをちゃんとする」「優しい」「楽しい」など、人間的な魅力を表現したものです。(3)は、「国際的な人」や「有名な人」など、生徒に新たな刺激や価値観を提供してくれるような人が望ましいとしました。

【外部指導者はどのような資質・能力が必要か】

外部指導者自身にはどのような資質や能力が必要かを考えたこのチーム。ロックシンガーである深田(悦)氏が参加したこともあり、各グループ名をすべて音楽に関連するもので表現しました。

「みんなのうた」とグルーピングしたところでは「子供に興味がある」「子供の主体性を尊重できる」「学校のニーズを把握できる」など、コミュニーケーション力が求められるのではないかと話しました。また「忍耐力」(グループ名は「演歌」)や、「行動力」「問題解決能力」(グループ名は「ブルース・スプリングスティーン」)といった能力も、外部指導者には求められると言及しました。

【保護者の立場から望む外部指導者】

保護者の観点から見た外部指導者を考えたこのチーム。時間内にグループごとにタイトルをつけるところまでは行きませんでしたが、「専門的な指導力」や生徒のモチベーションを上げる「人間的な魅力」を望むと発表。

一方で、どれだけ指導力が優れていても、ひとつのスポーツしかやっていない人よりは、バラエティ豊かな背景を持っている人の方が望ましいとも話しました。

【学校/先生の立場から外部指導者に求めるもの】

このチームは(1)官僚タイプの守りタイプ、(2)かっこつけ先生、(3)かまってちゃん、という3つにグルーピングしました。

(1)はデータの分析などを先生に代わってやってくれるような人材のことで、(2)は大きなビジョンよりも最新の技術やコーチング理論を追求する、ある意味で“形から入る”ような人を求めたいということでした。(3)は、先生や生徒とコミュニケーションをとりつつ、自分からも周囲に発信し、巻き込んでいけるようなタイプを表現したものです。

こうして約2時間に渡ったセッションは終了となりました。

今後、ますます少子高齢化が進んでいくに伴い、教員の負担が増加することも予想されています。その一方で、スポーツ庁は2025年までにスポーツ産業を15.2兆円規模まで拡大することを標榜しています。現在のところ学校の部活動はスポーツ産業の中に組み込まれるものではありません。しかし部活動は、人々がスポーツに親しむ土台となる場であることも間違いありません。それだけに、日本社会の発展のためにも、部活動のあり方を見直すことが今、求められているのです。日本のスポーツ界を支える部活動を、さらに支える存在が、外部指導者でもあるのです。

そんな外部指導者が今後どのように世に浸透し、部活動、そして日本のスポーツ界の発展に寄与していけることになるのか。今後も注視していきたいと思います。

 

スポーツコーチ同士の学びの場『ダブル・ゴール・コーチングセッション』

NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブではこれまで、長年スポーツコーチの学びの場を提供してきました。この中で、スポーツコーチ同士の対話が持つパワーを目の当たりにし、お互いに学び合うことの素晴らしさを経験しています。

答えの無いスポーツコーチの葛藤について、さまざまな対話を重ねながら現場に持ち帰るヒントを得られる場にしたいと考えています。

主なテーマとしては、子ども・選手の『勝利』と『人間的成長』の両立を目指したダブル・ゴール・コーチングをベースとしながら、さまざまな競技の指導者が集まり対話をしたいと考えています。

開催頻度は毎週開催しておりますので、ご興味がある方は下記ボタンから詳しい内容をチェックしてみてください。

ダブル・ゴール・コーチングに関する書籍

NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブでは、子ども・選手の『勝利と人間的成長の両立』を目指したダブル・ゴールの実現に向けて日々活動しています。

このダブル・ゴールという考え方は、米NPO法人Positive Coaching Allianceが提唱しており、アメリカのユーススポーツのスタンダードそのものを変革したとされています。

このダブル・ゴールコーチングの書籍は、日本語で出版されている2冊の本があります。

エッセンシャル版書籍『ダブル・ゴール・コーチングの持つパワー』

序文 フィル・ジャクソン

第1章:コーチとして次の世代に引き継ぐもの

第2章:ダブル・ゴール・コーチ®

第3章:熟達達成のためのELMツリーを用いたコーチング

第4章:熟達達成のためのELMツリー実践ツールキット

第5章:スポーツ選手の感情タンク

第6章:感情タンク実践ツールキット

第7章:スポーツマンシップの先にあるもの:試合への敬意

第8章:試合への敬意の実践ツールキット

第9章:ダブル・ゴール・コーチのためのケーススタディ(10選)

第10章:コーチとして次の世代に引き継ぐものを再考する

本格版書籍『ダブル・ゴール・コーチ(東洋館出版社)』

元ラグビー日本代表主将、廣瀬俊朗氏絶賛! 。勝つことを目指しつつ、スポーツを通じて人生の教訓や健やかな人格形成のために必要なことを教えるために、何をどうすればよいのかを解説する。全米で絶賛されたユーススポーツコーチングの教科書、待望の邦訳!

子どもの頃に始めたスポーツ。大好きだったその競技を、親やコーチの厳しい指導に嫌気がさして辞めてしまう子がいる。あまりにも勝利を優先させるコーチの指導は、ときとして子どもにその競技そのものを嫌いにさせてしまうことがある。それはあまりにも悲しい出来事だ。

一方で、コーチの指導法一つで、スポーツだけでなく人生においても大きな糧になる素晴らしい体験もできる。本書はスポーツのみならず、人生の勝者を育てるためにはどうすればいいのかを詳述した本である。

ユーススポーツにおける課題に関する書籍『スポーツの世界から暴力をなくす30の方法』

バレーが嫌いだったけれど、バレーがなければ成長できなかった。だからこそスポーツを本気で変えたい。暴力暴言なしでも絶対強くなれる。「監督が怒ってはいけない大会」代表理事・益子直美)
ーーーーー
数えきれないほど叩かれました。
集合の際に呼ばれて、みんなの目の前で顔を。
血が出てたんですけれど、監督が殴るのは止まらなかった……
(ヒューマン・ライツ・ウォッチのアンケートから)

・殴る、はたく、蹴る、物でたたく
・過剰な食事の強要、水や食事の制限
・罰としての行き過ぎたトレーニング
・罰としての短髪、坊主頭
・上級生からの暴力·暴言
・性虐待
・暴言

暴力は、一種の指導方法として日本のスポーツ界に深く根付いている。
日本の悪しき危険な慣習をなくし、子どもの権利・安全・健康をまもる社会のしくみ・方法を、子どものスポーツ指導に関わる第一線の執筆陣が提案します。

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