子供を成長に導く絶対条件はGRIT!最新科学に基づいて解説!

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GRITとは世の中の成功者が共通して持つ能力として世界中で注目されています。

このGRITは、教育学領域で発見された新たな知見ですが、これは教育学領域を乗り越えて社会学や政治学、体育学といった様々な領域で研究が進みつつあります。

本記事では、GRITがなぜ必要か、どのように高めればよいのかを解説します。

GRITとは長期目標への継続力と情熱

GRITの学術的な定義は、「長期目標への情熱と継続力」です1)。

この長期目標への情熱と継続力を持つ人は、絶え間ない興味を持ち続けているということと、努力を継続しているということが報告されています2)。

子供の教育で成功するなら子供のGRITを養おう!


子供の教育で成功するのであれば、子供のGRITを養うことは欠かせません。なぜならば、これは筆者が勝手に論じていることではなく、科学的なデータに基づいて研究がなされて証明された結果だからです。

例えば、GRITと学習成績における研究3)では、GRITの数値は学習成績に直結するものであるとしており、それだけに留まらず教師の学習効果の測定や生徒の継続力の測定にも使えるということが報告されています。

つまり、GRITを高めるということは、学習成績を伸ばすだけではなく、スポーツや仕事といった継続を必要とされる様々な領域で成功する可能性を高めることができます。

子供の教育における親としての姿勢は長期的な視点で子供を育てる事

子供のGRITを育む上では、親としての姿勢として長期的な視点で子供を育てることが求められます。なぜならば、GRITは長期目標への強い情熱と努力が必要であるためです。

友野4)は国内の子育てにおける問題点として、子育て・家庭教育論が外から見て取れる行動や測定可能で短期的な成果や変化のみに着目して、子供の内面や長期的な視点を欠いていることを強く主張しています。

なぜならば、親が見ていない時に子供が何をするのか・親がいなくなったあとにどのような大人になるのかが大事であるからです。

例えば、子供部屋で子供がいたずらをしているとします。短期的な成果を求めるのであれば、その場で怒ったり叩いたりしていたずらを止めさせることは出来ます。しかし、親が出ていったあとの事を考えましょう。

親がいなければいたずらしても叩かれないことが分かった子供はおそらくいたずらを働きます。

しかし一方で、いたずら自体が悪い行いであると納得して理解した子供は、親が出ていったあとでもいたずらをしないでしょう。

これは、短期的な目で見れば、子供部屋におけるシーンですが、もう少し長期的なスパンで見ると、大人になって親の前では悪さをしないものの親がいなければ悪さをするという子供を育てることにつながってしまいます。

この友野4)の主張で取り挙げられたKohnの著作物の内容を簡単にまとめると下記の通りとなっています。


親の主導原理

・子供への要求を再考せよ
子供が言うことを聞かないのは親の要求に問題がある

・親子関係を最優先せよ
親が子供を信頼し、子供がそれを知っていること

・子供の立場からどのように見えるか想像せよ
子供の立場が分かる事は子供の事を理解しており、多面的な物事を見る姿勢を多く示すことができる。

・取り繕うな
子供が必要なのは、欠点があるもののいい面もあるという親で、有能で完全なフリをしている親ではない

・話すより尋ねろ
話すのは怒鳴るよりもいい、説明は話すのより良いが聞き出すことのほうが良い

・「子供に対しては、事実と一致する最も良い動機を想定せよ(ネル・ノディンクスの言葉)」
子供は親の期待に沿うように行動するのである。子供の行動理由がわからないときは最善の動機を想定するとよい

・いいよというようにする
機械的な子育てではなく子供が普通と違うことをする機会を奪わないこと

・子供に自分の生活についての決定権を多く与えること
子供は指示に従うことではなく、自分で決める事によって正しい選択ができるようになる。だからこそ、子供に多くの選択を課す必要がある。

・無条件に愛を与える
自分が存在するだけで感じる愛を子供は感じる必要がある。罰や報酬による愛は子供が必要とする愛とは正反対である。

子供のGRITを養うための2つの方法


子供のGRITを養うための2つの方法として、目標設定スキルで子供の内発的モチベーションを高める・ポジティブシンキングスキルを高めることが挙げられます。

下記に内容と理由を示します。

目標設定スキルで子供の内発的モチベーションを高める


子供の教育で成功するためのGRITを養うために、目標設定スキルは欠かせません。目標設定スキルは、スポーツ心理学の領域では、やる気を高める方法として用いられています。

やる気を高めるために、単に目標を設定するだけではなく、目標に対しての過程を明確にすることが目標設定スキルを高めるためには必要です。

例えば、他の記事でも例を出していますが、42.195kmのマラソンを走るのに、いきなり42,195km走れるのは相当トレーニングを積んだ人でしょう。

目標設定スキルを高めて、長期目標への情熱を持ち続けるためには42.195km走り切るためにどのような事が必要なのかを考えます。

最初は10km走るために何が必要か、次に20km…というように段階を踏んだ結果として、1年後には42.195km走れるようになりたいといったように目標を設定します。

このように長期目標への情熱を持ち続けるためには、目標設定スキルは欠かせません。

ポジティブシンキングで子供の前向きで挑戦的な姿勢を作る

ポジティブシンキングスキルを高めることは、GRITを養う上では欠かせません。なぜならば、本人のやる気を継続させるためには、ポジティブシンキングスキルが必要だからです。

目標設定スキルはその場のやる気を高めてくれますが、目標設定を継続して実施しなければやる気は継続しません。そこで必要なのがポジティブシンキングです。

ポジティブシンキングは、単にポジティブな態度や言動がポジティブなわけではありません。

近年ポジティブ心理学の中で注目されているACT(Acceptance and Commitment Therapy)では、自分自身を受け入れる事が重要です。

否定的な感情を抱いている自分を受け入れることもポジティブシンキングの一つです。

ポジティブシンキングスキルにおいて重要なことは、「ありのままの自分を受け入れた上で、どのようにしたら自分にとってより良い行動を起こせるか。」ということです。

ポジティブシンキングについては別の記事で記載することしますが、子供のポジティブシンキングスキルを高めることもGRITを養う上では重要な要素です。

まとめ

子供の教育で成功するためには、子供のGRITを養う必要があります。GRITとは、世の中の成功者に共通している特徴です。

GRITを養うためには、親の姿勢として、長期的な視点を持って子供を教育することが重要です。

また、子供に必要なスキルとしては、目標設定スキルやポジティブシンキングがあります。

本記事を参考に、子供の教育を成功したと思える子育てをしてみませんか。

引用参考文献


1) Duckworth, A. L., Peterson, C., Matthews, M. D., & Kelly, D. R. (2007). Grit: Perseverance and passion for long-term goals. J. Pers. Soc. Psychol. 92, 1087–1101.
2) Duckworth, A. L., & Quinn, P. D. (2009). Development and validation of the short grit scale (grit-S). J. Pers. Assess. 91, 166–174.
3) Credé, M., Tynan, M. C., & Harms, P. D. (2016). Much ado about Grit: A meta-analytic synthesis of the grit literature. J. Pers. Soc. Psychol.. (Advance online publication) http://dx.doi.org/10.1037/pspp000010.
4)友野清文(2017).現代教育界の思想を振り返る―Alfie Kohnの「子育て論・家庭教育論」批判をめぐって― 学苑917: 54-69.

スポーツコーチ同士の学びの場『ダブル・ゴール・コーチングセッション』

NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブではこれまで、長年スポーツコーチの学びの場を提供してきました。この中で、スポーツコーチ同士の対話が持つパワーを目の当たりにし、お互いに学び合うことの素晴らしさを経験しています。

答えの無いスポーツコーチの葛藤について、さまざまな対話を重ねながら現場に持ち帰るヒントを得られる場にしたいと考えています。

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開催頻度は毎週開催しておりますので、ご興味がある方は下記ボタンから詳しい内容をチェックしてみてください。

ダブル・ゴール・コーチングに関する書籍

NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブでは、子ども・選手の『勝利と人間的成長の両立』を目指したダブル・ゴールの実現に向けて日々活動しています。

このダブル・ゴールという考え方は、米NPO法人Positive Coaching Allianceが提唱しており、アメリカのユーススポーツのスタンダードそのものを変革したとされています。

このダブル・ゴールコーチングの書籍は、日本語で出版されている2冊の本があります。

エッセンシャル版書籍『ダブル・ゴール・コーチングの持つパワー』

序文 フィル・ジャクソン

第1章:コーチとして次の世代に引き継ぐもの

第2章:ダブル・ゴール・コーチ®

第3章:熟達達成のためのELMツリーを用いたコーチング

第4章:熟達達成のためのELMツリー実践ツールキット

第5章:スポーツ選手の感情タンク

第6章:感情タンク実践ツールキット

第7章:スポーツマンシップの先にあるもの:試合への敬意

第8章:試合への敬意の実践ツールキット

第9章:ダブル・ゴール・コーチのためのケーススタディ(10選)

第10章:コーチとして次の世代に引き継ぐものを再考する

本格版書籍『ダブル・ゴール・コーチ(東洋館出版社)』

元ラグビー日本代表主将、廣瀬俊朗氏絶賛! 。勝つことを目指しつつ、スポーツを通じて人生の教訓や健やかな人格形成のために必要なことを教えるために、何をどうすればよいのかを解説する。全米で絶賛されたユーススポーツコーチングの教科書、待望の邦訳!

子どもの頃に始めたスポーツ。大好きだったその競技を、親やコーチの厳しい指導に嫌気がさして辞めてしまう子がいる。あまりにも勝利を優先させるコーチの指導は、ときとして子どもにその競技そのものを嫌いにさせてしまうことがある。それはあまりにも悲しい出来事だ。

一方で、コーチの指導法一つで、スポーツだけでなく人生においても大きな糧になる素晴らしい体験もできる。本書はスポーツのみならず、人生の勝者を育てるためにはどうすればいいのかを詳述した本である。

ユーススポーツにおける課題に関する書籍『スポーツの世界から暴力をなくす30の方法』

バレーが嫌いだったけれど、バレーがなければ成長できなかった。だからこそスポーツを本気で変えたい。暴力暴言なしでも絶対強くなれる。「監督が怒ってはいけない大会」代表理事・益子直美)
ーーーーー
数えきれないほど叩かれました。
集合の際に呼ばれて、みんなの目の前で顔を。
血が出てたんですけれど、監督が殴るのは止まらなかった……
(ヒューマン・ライツ・ウォッチのアンケートから)

・殴る、はたく、蹴る、物でたたく
・過剰な食事の強要、水や食事の制限
・罰としての行き過ぎたトレーニング
・罰としての短髪、坊主頭
・上級生からの暴力·暴言
・性虐待
・暴言

暴力は、一種の指導方法として日本のスポーツ界に深く根付いている。
日本の悪しき危険な慣習をなくし、子どもの権利・安全・健康をまもる社会のしくみ・方法を、子どものスポーツ指導に関わる第一線の執筆陣が提案します。

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