NZのコーチングのやり方特集!選手の不安を解くための最低限の知識(プロラグビーコーチ松浦大輔氏)

選手たちが「自分のプレーに自信を持てない」「高いパフォーマンスを維持できない」ことの理由は、練習不足だけではありません。

選手の心に課題がある可能性があります。

この課題を対処するためにトップチームでは、メンタルコーチがつくようになりました。

例えば、元日本代表ラグビーチームには、荒木香織氏がいます。

ニュージーランド代表オールブラックスには、ギルバード・エノカ氏がいます。

さらに、多くのトップアスリートや、トップチームで、メンタルコーチをつけるようになってきました。

私がラグビーコーチングしているニュージーランド(以後NZ)でも、体力・メンタル・スキルの3つがパフォーマンスを支えていると言います。

このため多くのNZ人コーチが選手のパフォーマンスを最大限高めるための方法を知っています。

今回はその中でも不安に打ち勝つためのスポーツコーチングについてNZのコーチングのやり方を紹介します。

コーチングのやり方―NZのコーチはモーメンタム(選手たちの勢い)をみるー

私たちNZのコーチは、コーチングをする時「スキル」「モーメンタム(選手たちの勢い)」の2つの視点からチームを見ます。

なぜなら、スキルや能力を持っているものの実力を出し切れていないと言う事が多々あるからです。

試合を例にすると、体格やスキルレベルで完全に相手を下回っていたとしても、モーメンタム(選手たちの勢い)が圧倒的に相手を上回っていて試合に勝つこともあります。

逆に個人を例にすると、モーメンタム(選手たちの勢い)がうまく乗っている時は、良いプレーをたくさんする事が出来たりもします。

つまり、人間のパフォーマンスは固定しているのではなく、モーメンタム(選手たちの勢い)によってパフォーマンスのレンジ(幅)の中を自由自在に動きまわるのです。

図1のように「パフォーマンスが低い選手が高い選手に勝つ」という現象が起こるのです。

そして、モーメンタム(選手たちの勢い)に大きな影響を与えるのが不安と興奮です。

興奮している時は、モーメンタム(選手たちの勢い)が高くなりパフォーマンスも高くなります。

逆に不安を感じていれば、モーメンタム(選手たちの勢い)は低くなりパフォーマンスも高くなります。

つまり、モーメンタム(選手たちの勢い)は選手のパフォーマンスに大きく影響します。

モーメンタム(選手たちの勢い)に影響を与える不安・興奮については下記の通りです。

コーチングのやり方―選手のモーメンタム(選手たちの勢い)をコントロールする―

選手のモーメンタムをコントロールする上で知っておきたいこととして、思考と身体の繋がりがあります。

思考が身体に与える影響は簡単に説明すると下記の通りです。

  1. 思考
  2. 感情
  3. ホルモン反応
  4. 身体
  5. 思考
  6. 繰り返し…

この思考が身体に与える影響を不安のサイクルだとすると以下のような影響を与えると考えられています。

  • 身体が震える
  • 筋肉が硬直する
  • 頭が回らない
  • 血圧が上がる
  • 息が上がる

人によって不安による身体への影響は様々です。

しかし、不安は、身体の状態を悪くさせてさらなる不安を感じさせてしまうため不安をさらに大きくしてしまいます。

不安は誰もが抱くものですが、その不安に打ち勝てるかどうかでパフォーマンスは大きく変わるのです。

NZでは、不安に打ち勝つためにコーチが選手に対して様々なやり方を行います。

コーチングのやり方―NZで行われる不安に打ち勝つための3つの方法―

NZのコーチングのやり方では、不安に打ち勝つための3つの方法があります。

不安に打ち勝つコーチングのやり方については下記の通りです。

不安と興奮は実はあまり身体、脳の中の反応としては変化がない

不安と興奮はあまり身体や脳内の反応として変化はありません。

多くの人が興奮状態は、高いパフォーマンスを生むと信じている一方で、不安状態はいパフォーマンスを生むと信じています、

しかし実際は、不安と興奮から生まれる体や脳、心への影響は、ほとんど同じです。

目の前の出来事に肯定的に捉える事にできれば興奮状態だと認識し、否定的に捉えれば不安状態だと捉えます。

ニュージーランドのトップのコーチは、試合前に映画でよく見る選手を興奮させるような劇を選手に飛ばしたりはしません。

なぜなら、その劇によって興奮が生まれ、本当に大切な試合で行わなければならない仕事や戦術を忘れてしまう可能性があるからです。

最悪のシナリオとして、興奮によって生まれた体反応に脳が影響を受け不安状態だと勘違いする可能性もあるからです。

つまり、興奮状態は不安状態でもあるということです。

日常生活で不安を生み出す要素を理解する

日常生活で不安を生み出す要素を理解することは、不安に打ち勝つコーチングのやり方で大切なことです。

今では、手放す事が出来なくなった

  • スマホ
  • タブレット
  • PC

などの電子機器

SNSや睡眠不足や食生活の乱れ他人との繋がりを大切にできないことは大きな不安を生む要素だと考えられています。

この中でも日本人は、特に睡眠に関しての理解が大変乏しく、平均睡眠時間が世界中を見てもかなり低かったりします。

私がラグビーのコーチングしているニュージーランドでは、一日、昼寝も合わせて約10時間寝る事を目標にするようにと言われています。

また、遠征の際はブルーライト(スマホなど)を見る時間を制限されていたりします。

ストレス発散に行う暴飲・暴食などは、ストレス発散どころか不安を引き起こす大きな要因として知られています。

スポーツマンはスポーツマンではありますが、それ以上に人間なのです。

良い人間でなければ、感情にパフォーマンスを支配され良いパフォーマンスを出し続ける事は不可能です。

自分自身の健康状態を意識することが、不安に打ち勝つためのポイントです。

不安を受け入れる

多くの選手が不安を感じた時に、不安を取り除こうとします。

そのために、ゆっくりした音楽を聴いたりストレッチをしたりご飯をたくさん食べたりルーティンワークを考え直したりと様々のことを行います。

しかし、それがさらなるを不安を生む事があります。

  1. 不安を感じる
  2. 不安を取り除こうとする
  3. 取り除けない
  4. さらに不安を感じる

このように不安を無理に取り除こうとすると不安が大きくなってしまいます。

不安と付き合っていくためには、不安を受け入れることが重要です。

不安は、私たちから切り離すことはできません。

しかし忘れてはいけないのがたちは、どんなに不安を感じても走ることができます。

話すこともできますし、息をすることができます。

何よりもスポーツを行う事ができます。

これらを認識し、感謝することが重要なのです。

つまり、今あることに感謝することそして、次の仕事に集中する事で不安を受け入れる事ができます。

不安を受け入れる事が、実は不安と私たちを切り離す重要な考え方なのです。

とは言っても、難しいというのが本音だと思います。

そこで、ニュージーランドの多くの選手が行なっていることとしてはヨガマインドフルネスと呼ばれるものです。

特に、マインドフルネスは多くのエビデンスが出ています。

もともと、マインドフルネスとはもともとアジアで生まれた物です。

それが海外に行って帰ってくるこれも不思議な事です。

しかし、マインドフルネスは今後スポーツ界で大きく注目される事は間違いありません。

せっかくパフォーマンスを高めるために行ったハードワークが不安や興奮などの感情によって奪われる事程、勿体無い事はありません。

不安を味方にする術を学び不安に打ち勝つ選手を作ってしまいましょう。

まとめ

NZのコーチングのやり方では大きく分けて「スキル」と「モーメンタム(選手の勢い)」を見ます。

このモーメンタム(選手の勢い)は、自分たちよりも格上の相手であっても勝利するような場合に影響していることが考えられます。

このモーメンタム(選手たちの勢い)には不安と興奮が影響しています。

実は、不安と興奮は同じで上手く身体に影響すると興奮し、ネガティブに働くと不安を感じます。

興奮は選手のパフォーマンスを高めますが、不安は選手のパフォーマンスを低下させます。

日常生活で不安を感じさせる要素を明らかにすることや不安を受け入れることは、選手を不安に打ち勝たせてパフォーマンスを発揮することにつながります。

本記事を参考にして選手がもつ不安に打ち勝つコーチングのやり方を身につけてみてはいかがでしょうか。

スポーツコーチング・イニシアチブイベント告知

NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブのスポーツコーチング・ラボvol. 19では、「指導の質を高める感情コントロール術」~チームの勝利と人間的成長の両立を目指して~を2019年12月18日19時~21時30分に渋谷にて開催します。

今回のスポーツコーチング・ラボでは、アメリカでメンタルパフォーマンスコーチとして研究と実践に携わる早川琢也氏をお招きします。

本ウェブサイトでアメリカの最新情報を提供していただいている方でもあるのでこの機に是非ご参加ください。

詳細は下記の通りです。

「指導の質を高める感情コントロール術」~チームの勝利と人間的成長の両立を目指して~

【講師】

早川琢也氏

2007年東海大学理学部情報数理学科卒、2009年東海大学体育学研究科体育学専攻修了。

東海大学大学院では実力発揮と競技力向上の為の応用スポーツ心理学を学ぶ。 

2014年8月よりテネシー大学運動学専攻スポーツ心理学・運動学習プログラムに在籍。

スポーツ心理学に加え、運動学習、質的研究法、カウンセリング心理学、怪我に対するスポーツ心理学など幅広い分野について学ぶ傍ら、同プログラムに所属する教員・学生達のメンタルトレーニングを選手・指導者へ指導する様子を見学し議論に参加する。

2016年8月より同大学教育心理学・カウンセリング学科の学習環境・教育学習プログラムにて博士課程を開始。

スポーツスキルを効率良く上達させる練習方法、選手の自主性を育む練習・指導環境のデザインについて研究している。

学術的な理論や研究内容に基づいた実践方法を用いて、日本・アメリカのスポーツ選手に対して実力発揮のメンタルスキルの指導とスポーツスキル上達のサポートも積極的に行なっている

2016年よりアメリカ南東部剣道連盟の選抜チームに対して心理的サポートを行なっている。

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第2章:ダブル・ゴール・コーチ®

第3章:熟達達成のためのELMツリーを用いたコーチング

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第5章:スポーツ選手の感情タンク

第6章:感情タンク実践ツールキット

第7章:スポーツマンシップの先にあるもの:試合への敬意

第8章:試合への敬意の実践ツールキット

第9章:ダブル・ゴール・コーチのためのケーススタディ(10選)

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