スポーツコーチングのやり方の基本はPDCAを伴走すること

スポーツ現場での指導ではやり方が様々です。

しかしながら、コチラの記事でも述べたたように、スポーツ現場ではコーチングではなくティーチングが中心となってしまっていることが多いように感じます。

コーチングの語源は、馬車つまり「選手の目指す場所に連れて行く手助けする」といった意味合いです。今回は、コーチングのやり方について詳しく解説します。

コーチングの基本は聴くことから始まる

コーチングの基本は聴くことから始まります。コーチングは選手に発問し、傾聴することによって選手自身に気づきを与えます。

馬車だとわかりづらいかもしれませんが、タクシーを想像するとわかりやすいでしょう。

タクシーでは、お客さんに目的地を聞きますよね。それに加えて運転手が分からないことがあれば行き方をお客さんに指示してもらうこともあるかもしれません。

スポーツ現場のコーチングでは、道をお客さんに聞きながら一緒に進むといったイメージを持つと良いでしょう。

コーチングにおけるPDCAサイクルは必須!

コーチングにおけるPDCAサイクルは必須です。

なぜならば、選手を効率的に目標達成してもらうためには、効果的な手法であるためです。

PDCAサイクルを用いてコーチングのやり方を解説すると下記のようになります。

コーチングのやり方①プランニングを一緒にしましょう

どの競技・スポーツにおいてもプランニングは欠かせません。

プランニングをすることによって、選手は行うべきトレーニングが明確になるため、練習に対する取り組みにモチベーションが高まります。

このプランニングをする際には、できるだけ明確かつ具体的な目標を設定することで、選手の取り組みに大きく影響します。

また、コーチ側が一方的に目標を設定してしまい、選手がその目標に対して価値を感じなければモチベーションは高まりません。

これは心理学の理論である期待価値理論に当てはめるとわかりやすいです。

期待価値理論では、設定する目標の達成成功確率が50%程度の場合、最もモチベーションが高くなるとされており、これに加えて目標達成に対する価値を選手が感じ取ることによってモチベーションは最大限高まる1)としています。

つまり、選手が無理だと感じない程度の目標を一緒にプランニングすることが、コーチングの具体的なやり方の第一歩です。

コーチングのやり方②選手の実践を観察して適切なアドバイスができるようにする

コーチングのやり方の2段階目のステップとしては、選手に実践してもらい観察をしましょう。

この観察方法には様々な観察方法が存在します。

スポーツ運動学の大家であるクルト・マイネル2)によれば、運動の経過観察には8つの観察方法があることを述べています。

この8つの観察方法は下記の通りです。

  • 運動の局面構造
  • 運動リズム
  • 運動伝導
  • 流動
  • 運動の弾性
  • 運動の先取り
  • 運動の正確さ
  • 運動の調和

一つ一つ述べると非常に長くなってしまうので別記事で記載することとしますが、これらの観察方法を元に選手の動きを観ることによって選手の課題点や問題点だけではなく、出来ている動きなどがあることが分かります。

コーチングのやり方③選手にフィードバックをして選手の考えを引き出す

コーチングのやり方の3つ目のステップとしては、フィードバックをして選手の考え方を引き出すことがあります。ここでは、ティーチングとコーチングをうまく使い分ける必要もあります。

最終的にはフィードバックの情報を元に選手に発問して選手に考える「きっかけ」を与えることによって選手自身が深く自分自身と向き合う時間が出来ます。

例えば、「〇〇さんは今体の軸がぶれてしまっているんだけどもう少し安定させるためにはどんなことが必要だと思う?」

といった問いかけをすることで、フィードバックに加えて選手に発問することが出来ます。選手にフィードバックして発問し、聴くことは、コーチングの基本的なやり方です。

コーチングのやり方④改善するためにアドバイスを与え実践してもらう

コーチングのやり方の最終的なステップとして、選手の問題点や課題点、あるいはストロングポイントを更に伸ばすためにアドバイスを与えることも重要です。

選手に発問して自分自身で気づきを促しても改善が見られない場合には、コーチが改善策をいくつか提示してもよいでしょう。

この時に、ステップ2で観察した情報を元にアドバイスをすると良いです。筆者自身は、専門種目がサッカーで、元U-18の日本代表の非常勤の先生が高校時代にいました。

ある時、低弾道のシュートの練習をしていて、「君はもう少し足をムチのようにしならせて蹴るといいよ。」と指導されたことがあります。

この時の表現と体の感覚は現役を引退した後の今でも覚えています。

このように、改善するためのアドバイスを与えて実践してもらうということもコーチングのやり方です。

まとめ

コーチングのやり方として、上記のようなPDCAサイクルを用いてコーチングを実践することによって、効率的に選手を育成することにつながります。

プランニングを選手と一緒に行い、実践してもらいます。次に選手にフィードバックを与えて発問し傾聴します。

それで改善が図られない場合には、アドバイスを行い選手に実践してもらいます。本記事を参考にコーチングを見つめなおすきっかけになれば幸いです。

引用参考文献

西田保(2013)スポーツ行動の秘密に迫る!スポーツモチベーション.大修館書店.

クルト・マイネル著 金子明友訳(1981)スポーツ運動学.大修館書店.

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早川琢也氏

2007年東海大学理学部情報数理学科卒、2009年東海大学体育学研究科体育学専攻修了。

東海大学大学院では実力発揮と競技力向上の為の応用スポーツ心理学を学ぶ。 

2014年8月よりテネシー大学運動学専攻スポーツ心理学・運動学習プログラムに在籍。

スポーツ心理学に加え、運動学習、質的研究法、カウンセリング心理学、怪我に対するスポーツ心理学など幅広い分野について学ぶ傍ら、同プログラムに所属する教員・学生達のメンタルトレーニングを選手・指導者へ指導する様子を見学し議論に参加する。

2016年8月より同大学教育心理学・カウンセリング学科の学習環境・教育学習プログラムにて博士課程を開始。

スポーツスキルを効率良く上達させる練習方法、選手の自主性を育む練習・指導環境のデザインについて研究している。

学術的な理論や研究内容に基づいた実践方法を用いて、日本・アメリカのスポーツ選手に対して実力発揮のメンタルスキルの指導とスポーツスキル上達のサポートも積極的に行なっている

2016年よりアメリカ南東部剣道連盟の選抜チームに対して心理的サポートを行なっている。

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ABOUTこの記事をかいた人

東海大学体育学部競技スポーツ学科卒(2015) 東海大学大学院体育学研究科修了(2017) 専門はスポーツ心理学で主にメンタルトレーニングの研究と実践に携わる 経歴は、大学生弓道部(5年)中学生野球部(2年) 大学生弓道部は全国ベスト8位3回 16位1回を経験 大学院修了後はフリーランスとしてウェブライター兼メンタルトレーニングアドバイザーとして活動